看寿賞を受賞しました


詰パラHPで速報がありましたように、鈴川の作品が平成30年度看寿賞(短編部門)を受賞しました。


作品内容については別記事で詳しく書いているので、そちらを参照ください。→詰パラ 入選142回 高等学校

実は看寿賞をいただくのはこれが初めてのこと。
半期賞のほうは8回ももらっているだけに、「そういえばまだだったのか」という感覚です。

奇しくも、初入選が2009年なので、今年が詰パラデビューから10年目の節目でした。
同時にこのブログも、2009年の6月から始めているので、ちょうど10周年。
(当時中学1年だったので、過去記事にお見苦しいところがあるのは笑ってご容赦ください)
ひとまず、いろいろな意味で一区切りついたのかなと思っています。

入選回数は150回を超え、今後ともちらほらと作品を出していけたらと思います。
(創作は最近やっていないのですが)
次の目標は入選200回ですね。

7月の大阪の全国大会には出席したいと思いますので、ご参加される方はそちらでまたお話しましょう。
ありがとうございました。



宣伝。
詰パラ6月号で出題中の自作が2作あります。
A級順位戦・同人室ともにそこそこ気に入っているので、解いていただけたらと。
同人室の作は宮田敦史プロが「こ、これはすごい! こんなことができるなんて」と驚いていらっしゃったので、ぜひ。

Kifu for JS (ver. 2.0.0)をブログに貼り付ける

このブログで動く将棋盤として使わせていただいているKifu for JS。
JavaScriptのみで動いているので、スマホでも表示できます。

以前は動く将棋盤といえば勝田将棋盤やKifu for Java、ブログに載せるならkif2swfやフラ盤などが主流でしたが、JavaやFlashはサポートが停止されることになっており(注:あまり詳しくないので正確には違うかも)、これらはすべて将来的に閲覧できなくなる可能性が高いです。
そういうわけで各所の詰将棋サイトでは、Kifu for JSの導入が少しずつ進んできているようです。

このブログで2年ほど前に、Kifu for JSをブログに貼り付けるという記事を書きました。
当時はKifu for JSを実際に使っているサイトがほぼ皆無で、この記事をきっかけにおそらく少しずつ広まっていったのではないかと思います。
使い方が少し難しく、このブログでも初めはかなり不格好な見た目になってしまっています。

しかしそれからKifu for JSがバージョン2.0.0にアップデートされ、大幅に使いやすくなりました。
そこでもう一度、ブログへの貼り付け方をここにまとめておきたいと思います。

なおブログはFC2を想定していますが、他のブログでもおそらく同様にできると思います。



1. Kifu for JSをダウンロード
配布ページに行き、右側の緑色の「Clone or Download」ボタンをクリックして「Download ZIP」を選択。ダウンロードしたzipファイルを解凍します。
また、配布ページの中央あたり、「4 releases」のタブをクリック。下にスクロールしていき「kifu-for-js-2.0.0.min.js」というファイルをクリックしてダウンロードします。

2. jQueryをダウンロード
jQueryの配布サイトに行き、「Download jQuery」というオレンジ色のボタンをクリック。
「Download the compressed, production jQuery 3.3.1」というファイルを保存します。右クリックから「名前を付けてリンク先を保存」などでいけるはずです。
もし新しいバージョンが出ていたならそれでもいいかも知れません(?)。

3. ファイルを整理
ダウンロードしたファイルから必要なものを選んで整理します。
まず1つフォルダを作ります。「Kifu for JS貼り付け用」など、適当に名前を付けておきます。
1.でダウンロードして解凍したフォルダから、「css」フォルダの中にある「kifuforjs.css」というファイルをコピーし、さっき作った「Kifu for JS貼り付け用」フォルダ内に貼り付けます。
また同様に、1.でダウンロードした「kifu-for-js-2.0.0.min.js」および、2.でダウンロードした「jquery-3.3.1.min.js」も、「Kifu for JS貼り付け用」フォルダ内に移動しておきます。

4. ブログにスクリプトをアップロード
FC2ブログで言えば「ファイルのアップロード」です。ブログに写真を載せるときなどと同じ操作です。
「Kifu for JS貼り付け用」フォルダに入れた「kifuforjs.css」「kifu-for-js-2.0.0.min.js」「jquery-3.3.1.min.js」の3つのファイルを、ブログのサーバー上にアップロードします。
このとき、FC2ブログだとファイル名に拡張子以外で「.(ピリオド)」が含まれているとエラーが起きるので、「kifu-for-js-2.0.0.min.js」は「kifu-for-js-2.js」に、「jquery-3.3.1.min.js」は「jquery3-3-1.js」などに、それぞれ適当に名前を変更しておくといいでしょう。

5. 載せたい棋譜をテキストファイルで作成、アップロード
柿木将棋を使うなら、載せたい棋譜を開いて、「編集」→「棋譜のコピー」→「KIF形式」。これを「メモ帳」などの適当なテキストエディタに貼り付けます。
お好みで棋譜情報を編集します。例として、「開始日時」「終了日時」「手合割」の行を削除。また、「先手:」「後手:」のところも、詰将棋なら関係ないので削除しておきます。
サンプルとして、こんな感じです→「kifuforjs-sample
拡張子を「.txt」にして保存したら、これもまた4. と同じくブログのサーバーにアップロードします。

6. ブログにKifu for JSを読み込ませる
この部分は、他にもやり方があると思いますが、いろいろ実験した結果この方法が一番不具合がなかったです。
ブログのHTMLを編集します。FC2ブログで言えば、管理画面の左袖の「設定」→「テンプレートの設定」。
「〇〇のHTML編集」というところがあると思いますが、そこのコードで、最初のほうに<head>と</head>で挟まれたある程度広い領域があるはずです。
その領域の終わりのところ、すなわち</head>の直前に、以下のコードをコピペして挿入してください。

<!--Kifu for JS貼り付け用 ここから-->
<script src="https://blog-----jquery3-3-1.js"></script>
<link rel="stylesheet" type="text/css" href="https://blog-----kifuforjs.css" />
<script src="https://blog-----kifu-for-js-2.js" charset="utf-8"></script>
<script>var Kifu = KifuForJS;</script>
<!--Kifu for JS貼り付け用 ここまで-->

その際、赤字青字緑字の部分を、4. でアップロードした3つのファイル「jquery3-3-1.js」「kifuforjs.css」「kifu-for-js-2.js」のweb上のURLに書き換えておきます。このURLはFC2ブログで言えば先ほどファイルをアップロードした際に「ファイル情報」のところに表示されているはずです。
HTML編集が終わったら、「更新」ボタンを押します。

7. 盤面を表示する
ブログで記事を書いてみましょう。記事中に次のコードをコピペすれば、その位置に動く盤が表示できるはずです。

<script>Kifu.load("https://blog-----kifuforjs-sample.txt");</script>

ここで、ピンク字のところは、5. でアップロードしたテキストファイルのURLになります。



以上となります。動く将棋盤が表示されたでしょうか?
しかし、実はこれだけだとうまくいかない場合があります。
それは、Kifu for JSのcssが、ブログのcssと干渉して、レイアウトが崩れてしまう場合です。
これに関しては、その部分をcssを編集して解消するくらいしか、今のところ方法が分かりません。

参考までに、このブログで現在使っているcssを公開しておきます。→「kifuforjs_revised12.css
以前おかもとさんにいただいたサンプルを、鈴川が微調整して新たに作ったものです。
よく背景のカラーが割り込んできてしまっているものを見かけますが、その類のものはこれで解消できるはずです。
また棋譜コメントの枠が広すぎたのも調整したりしています。
試してみたい方は、このcssを保存して、もとの「kifuforjs.css」と差し替えてみてください。
その際、6.青字の部分を書き換えるのを忘れないようにしましょう。

貼り付け例

詳しい方はよりよい方法を教えていただけたらありがたいです。
また、この記事に書いていること自体に間違いがある場合も、お気軽にご指摘ください。

「盤上に死を描く」激辛レビュー

詰将棋作家である井上ねこさん(井上賢一さん)が第17回『このミステリーがすごい!』大賞・優秀賞を受賞されました。おめでとうございます。
『このミス』大賞は乱歩賞と並んで、ミステリー作家の登竜門と言われています。乱歩賞に比べてミステリーとしての捉え方が広く、パニックホラーものや「入れ替わってる~!?」的な幻想譚まで、幅広いジャンルの作品が過去の受賞作にはあり、どちらかというとエンターテイメント性の高い作品が集まる賞です。
今回井上さんが書かれた「盤上に死を描く」は、詰将棋が鍵となる連続殺人事件ということで、今月6日に出た文庫本を購入して早速読んでみました。


あらすじ引用
"71歳の老婆が自宅で殺された。片手に握っていたのは将棋の「歩」、ポケットに入っていたのは「銀」の駒。その後、名古屋市の老人が次々に殺害されるが、なぜか全ての現場には将棋の駒が残されていた。被害者の共通点も見いだせず行き詰まるなか、捜査一課の女性刑事・水科と佐田はある可能性に気がついて――。事件が描く驚愕の構図とは?被害者たちの意外な繋がりとは? 衝撃のデビュー作!"

以下、ネタバレ要素の強いレビューとなりますので、特にストーリーの根幹に関わってくるところは伏せてあります(ドラッグで反転して読めます)。すでに読了している方だけでお願いします。
また、相当辛口のレビューになっていますので、そういうのが苦手な方や気分を害される可能性がある方は読まないようご注意ください。
あくまで、一詰将棋作家および一ミステリー愛好家としての感想ですので、深く考えられないようにお願いします。



まず、詰将棋の世界がかなり深く扱われているということ。
詰パラはもちろん、看寿賞や投稿用紙がどうこう、という話までも物語の主軸に関わってきます。(それぞれ、「詰トピア」、「宗看賞」となっていますが)
刑事が詰パラ編集部に捜査に入った時に、鶴田主幹(作中では鶴本)が登場して「詰将棋は一種の芸術だと思っているんだ」と語るシーンもあり。
作品の舞台は平成12年とのことで、現実では水上CEOの時代ですが、愛知県警を辞めて詰パラを創始したなどと書かれている点で鶴田主幹をモデルにしていることがわかります。
詰キストとしては嬉しくなりますね。

では、もう少し物語としての話の流れを追っていきたいと思います。
まず、主人公は30歳の女性刑事で、なんと元詰将棋作家です。しかも、作品を見て誰が作者なのかすぐにわかったり、正解者たった2名の難解な長編の余詰指摘をしたりと、そんじょそこらの詰将棋好きとは違って生粋のマニアです。
ウーン、相当無理をしている 笑。
そんな水科刑事がホスト風のイケメン佐田刑事とバディを組んで、連続殺人事件に挑むわけですが、いかんせんこの2人および愛知県警、とんでもないポンコツです。
まず水科刑事は詰将棋作家というバックグラウンドがあるにも関わらず、連続殺人の現場に残された将棋の駒に対して「駒自体に意味はない、これは同一犯人の犯行であることを強調するためのもので、他のなんでもよかった」などと、トンチンカンな推理をします。
読んでいる側からすればそんなわけないじゃん、とストレスばかり溜まる展開です。

結局2か月近く犯行が続いて、6人も襲われた段階に至って初めて、駒の意味を真剣に考えた水科刑事ですが、そこは詰将棋作家、ものの数分の思考でその真意に辿り着きます。やればできたんかい、とツッコミ。
一般人ならまだしも、詰キストなら、真っ先にその可能性を考えそうなものです。捜査を進めるにあたって得たいくつもの情報が謎解きのヒントになる、という構成にしないと、彼女らのそれまでの努力が意味をなさないのでは……。
(ちなみに詰キストの読者なら、ここの謎解きは自力でトライするのにちょうどいいレベルだと思いますので、水科刑事より早く解けた!という楽しさはあります。詰将棋を知らない人にはなんのことやらサッパリだと思いますが)

ともかく、水科刑事の成果によって残りの殺害ターゲットが絞られるのですが、犯行を止められずに「殺人図式」を完成させてしまった挙げ句、犯人にも死なれてしまいます。ポ、ポンコツだ……。
結局、看寿賞を獲り逃して自殺した詰将棋作家・矢場の元カノが発狂して無差別殺人鬼と化した事件、ということで事態は収束します。
ところが、詰将棋作家としての勘から、水科刑事は黒幕の存在に気づき、奔走する
……というのがだいたいのストーリー。

さて、すべて読み終わって、一番不可解なのは犯人の動機。
もちろん、ほぼ無差別殺人である以上、きっちりとした動機づけを望んでいるわけではないのですが、そもそもそんな大それた殺人を計画して実行する動機自体がないのです。
というのも、実行犯に関しては、相当精神的に参っていたところをうまく操られた、ということにしてなんとか理由付けできるとは思いますが、黒幕に関してはまったくの意味不明。
ゴーストライターにするつもりだった天才詰将棋作家・矢場を、自殺を装わせて殺したところまでは百歩譲って整合性はあります。しかし、そこからどうして「殺人図式」を作り上げる必要性があったのか。作中では、(1)詰将棋界への恨み、(2)矢場を有名にしてその作品を独り占めする、(3)自分の頭の良さを示すため、(4)匿名の余詰指摘者「詰一」をあぶり出すため、と説明されていますが、どれもことごとく矛盾します。蛇足かもしれませんが、一応以下で考察。

(1)詰将棋界への恨み
詰パラに発表した初入選作を女子中学生に余詰指摘されてけなされたからといって、それがどうして詰将棋界への恨みになるのか。黒幕は資金力のある初老の実業家なのだから、そこでムキになるような幼稚な考えをするとは思えない。もし仮に詰将棋界を恨んだとしても、それが詰将棋に無関係な人間の大量殺人へとつながる理由がまったくない。

(2)矢場を有名にしてその作品を独り占めする
矢場は黒幕にとっては天才に見えたかもしれないが、実際は看寿賞0回で発表したのは数十作だけ。出来の悪い「1」の殺人図式を世間に示したからといって、詰将棋を知らない一般人が「矢場は天才」と認識するに至らないだろう。さらに、黒幕が殺人図式を計画したのはおそらく矢場を殺した後。金の卵を生むめんどりを殺してしまって、彼の未発表の作品はせいぜい2、30しかない。たったそれだけを独り占めするために大量殺人を仕組むだろうか。当初の計画通り、矢場の遺作を自作と偽って発表すればよかっただけの話ではないだろうか。当然これなら矢場のブランド価値を上げる必要性はなく、殺人図式も必要ない。

(3)自分の頭の良さを示すため
あっ、はい。一番それっぽい理由。しかし世間的には、連続殺人犯は矢場の元カノの中年女として認識されるわけで、それで黒幕の自己顕示欲が満たされるとは思えない。

(4)匿名の余詰指摘者「詰一」をあぶり出すため
「矢場の傑作に余詰があったのは神の嫉妬のためだ」と本気で思っている黒幕なので、「詰一」なる人物をあぶり出したところでどうするのか。黒幕自身も「卑怯な人間さ」と口にしてはいるが、そこに「詰一」に対する恨みの感情があるとは思えない。また、殺人図式で世間を騒がせれば、自然に「詰一」があぶり出されてくると期待するのも不自然。その資金力と他人の心の掌握力を生かして自分で探せばいいだけの話では。

(それ以外の可能性)
そもそも黒幕は矢場が「引退する」と言った途端、感情的に殺してしまったのではなく明確な殺意があって矢場を「処分」したサイコパスである。こうなると、もっと以前にもたくさん人を殺してきた経験があるのかも知れない。となると、自分の詰将棋になぞらえて大量殺人を仕組む筋書きを、もとから考えついていた可能性が高い。そこにたまたま、冬村という錯乱状態の女が現れたので、都合よく利用して遊び感覚で殺人図式を演出したのではないだろうか。矢場の遺作をどうするとか、深いことは一切考えていなかった。これが一番矛盾がない。

というわけで結論としては、この犯人は自分で思っているほど頭が良くないということになります 笑。
私が推理小説において重視していることは、犯人の動機と、それがどのように犯行に現れてくるか、そしてそれを探偵役がどのように解釈していくか、という面ですので、詰将棋をいかにミステリーに組み込むかということを重視するあまり人間の行動が見事に空中分解してしまっているこの部分は、ひじょうに不満でした。
もっとも、そういう読み方をする読者は少数派で、多くの方は気にしないのかも知れません。

あともう一点、不満点があるとすれば、文章ですかね……。
『このミス』大賞の作品は、文章がまずくて読んでいるのが苦痛な作品もたまに見受けますが、それに対してこの作品は簡潔な文章で、クリアに頭に入ってきます。
ただ、あまりに真っ白で、抑揚が皆無です。
言ってしまえば、あらすじを箇条書きで読んでいるような感じ。緊迫した場面でも、常に同じトーンで描かれ、読んでいてドキドキも何も感じません。
登場人物たちの喜怒哀楽もほとんど伝わってこないので、なんだかそれこそ筋書きにそって都合よく動く「駒」みたいな印象。水科刑事と佐田刑事のバディだって、濃いキャラの設定上いくらでも魅力的なやりとりができるはずなのに、事務的なことしか動かず喋らずです。それぞれの持ち味をまったく生かすことができていません(佐田刑事が甘いマスクを使って情報を聞き出す、とかあってもよかったのに……)。そして警察も犯人もやっぱりポンコツなので、こいつら暢気だなあと一歩引きながら読むしかありませんでした。



というわけで、書いているうちに思わぬ長文になって驚いています。
かなり批判的な感想になってしまいましたが、ここまで真面目にレビューを書いたということは、実は私も意外に楽しんで読んでいたということの証明なのかも知れません。
気になった方はぜひ読んでみてください。

井上ねこさんのインタビューによると、次回作のあらすじを出版社に提出済みとのことなので、駒たちの躍動する作品を楽しみにしています。

短編名作選 落穂拾い

今さらですが、『現代詰将棋短編名作選1976-2015』。宣伝しておきます。

tanpen_meisakusen.jpg

古今詰将棋のベスト・オブ・ベスト400局
現代の一流詰将棋作家40人が、これまで発表された数多の短編詰将棋の中から、特に感銘を受けた作品を1人10局ずつ推薦し、解説を加えたベスト・オブ・ベスト400局。
挑戦するもよし、珠玉の芸術作品として盤に並べて鑑賞するもよし。永久保存版です。
(将棋情報局より引用)

ここで言う「現代の一流詰将棋作家」に僕も入っていまして、10作品を解説しています。
解説よりも選題のほうが骨の折れる作業でした。
過去のいろいろな作品を見て、他の人と推薦が被ったりもして、ようやく選んだという感じです。
今回は、候補に上げてはいたものの、収録することが叶わなかった作品をいくつか紹介します。




めちゃくちゃシンプルな図。
しかし限定合を2回動かす手順は、びっくりするくらい味がよく、好みでした。
序に角2枚を設置して穏やかに始まり、12角成を避けられて「おっ?」となる。その直後にダイナミックな飛の突進、そして締めの13角成と、リズムがすこぶるいい。




収録させるべきか最後まで迷った作品。
大駒4枚の積み崩し。ありふれた狙いのようで、相当に作図は難しい。元の場所に戻って頭金まで、という構成が好みのど真ん中だ。
57同桂成もちゃんと成に限定されているし、よくできている。
81桂さえなければ……というところ。おそらくそのあたりが嫌われたか、順位戦では3位という評価だった。




この作品は完璧な短編だと言わせてほしい。
なぜ初手61角ではいけないのか。そして、2手目歩合には46龍で充分だったのに、なぜ桂合には47龍なのか。
合駒を動かし、打った駒を消し去る収束の爽快さもさることながら、変化の作り込みまで、あまりに巧すぎる。
唯一、完璧ではなかった点……それは5手目45龍からの余詰だった。作者による修正図が最近my cubeにコメントされたが、それもあえなく潰れているようで、いつか完全な修正が施され、この作品が再び脚光を浴びる日が待たれる。




これはおまけ。というのは、発表が1973年なので、今回の短編名作選の収録年から外れてしまっているため。
作品のほうは、これまたコミカルな手順。角2枚を積み、銀を不成で往復させ、そして角2枚を崩せば、初形から歩が消えて1手詰。
本当に40年以上前の作品かと信じがたいものがあるが、小城魚太郎は山本民雄のペンネームだと聞けばなんとなく納得できそうな気もする。



以上4作、紹介して参りました。
僕の好みが出ているところもありますが、どれもこれも、胸を張って名作として推薦できる作品です。
逆に言えば、短編名作選はここにある以上のクオリティの作品が目白押しということで、未入手の方はぜひぜひご購入ください。

Kifu for JSをブログに貼り付ける

2019年2月追記
この記事は情報が古くなっています。
新しい記事「Kifu for JS (ver. 2.0.0)をブログに貼り付ける」をご覧ください。




このブログでは、詰将棋を再生するツールとして、kif2swfフラ盤を使ってきました。
どちらもたいへん優秀な再生盤で、他のサイトでもよく見られるのですが、前者は棋譜の分岐が作成できないという欠点とちょっとしたバグを抱えており、ここ数年はずっとフラ盤を使っていました。
しかし、つい最近になって、致命的な問題が生じます。
Adobe社がFlashの配布とアップデートを2020年で終了するというのです。また、各webブラウザも、段階的にサポートを終了していくとのこと。
これはつまり、Flashを使った棋譜再生盤が終焉を迎え、このブログに貼られている詰将棋が見られるのも残り5年がいいところになるということ。大問題です。
なおFlashは、そもそも最近のスマホからは見られませんね。スティーブ・ジョブズ氏は2007年にはもうFlashに見切りをつけていたようで、それが時代の流れになっている感じです。

では、これからブログに詰将棋を載せるためには、どうすればいいか。
世の中にはFlashを使用したkif2swfやフラ盤以外にも、「おもちゃ箱」で使われているKifu for Java、「詰将棋博物館」で使われている勝田将棋盤など、さまざまな棋譜再生盤が存在します。
しかし、最近はJavaもオワコン(終わったコンテンツ)になってきており、おそらく皆さんが経験されているようにこれらの将棋盤は閲覧しているPCからJavaを表示する許可をHPごとにしておかないと動きません。また、スマホからでは閲覧不可です。
おそらくJavaも、そのうち完全にサポートが停止される日が近いのではないでしょうか。

というわけで、残された道は、Flashに取って代わるものとしてAdobeも推奨している、HTML5です。もっと言えば、JavaScriptです。
(JavaとJavaScriptは全く別の概念です。念のため。)
JavaScriptを使った棋譜再生盤がないか……とネットの海を探し回って見つけたのが、この2つ。
Kifu for JSjsShogiKifu
このどちらかをmy cubeに導入できないか……と試行錯誤していたのですが、僕のweb知識が乏しく、いろいろ問題があってうまくいきませんでした。
しかし、おかもとさんと桃燈さんの助けを借りて、ようやく、Kifu for JSを貼り付けることに成功しました。
それでは前置きが長くなりましたが成果をご覧ください!



なんで自作じゃないんだよ、とツッコまれるかもしれませんが、棋譜にコメントと分岐があって、かつ短手数の作品にしたかったので……。
上谷志賀さんが保育園に変同を狙いにした作品を発表されていたので、それに関連してこういう作品があるよ、と全国大会で話していました。
10年以上も前に、ダブル回文詰なんてものがあったんですね。

さて、それでは軽く、他の詰将棋(or指将棋)ブロガーのために、Kifu for JSを貼り付ける方法を紹介しておきましょう。
まだまだ普及がなされていないようで、Kifu for JSが貼り付けられているサイトはおそらく、本家の紹介サイト以外に存在しない気がします。
ちなみに、fc2ブログ以外のことは分かりませんので、そのつもりで 笑。htmlほとんどわからない人向けに書きます。
なお僕もhtml超初心者なので、間違っているところなど大いに指摘してください。



1. Kifu for JSをダウンロード
Kifu for JSの配布ページに行き、緑色のボタンから「Download ZIP」。解凍して適当な場所に置いておく。

2. jQueryをダウンロード
jqueryというのはJavaScriptを簡単にするためのもので、開発者の方はこれを使って将棋盤をプログラミングしているようです。よってこれがないと動きません。公式サイトから最新版をダウンロードし、先ほどのKifu for JSのフォルダのsrcフォルダの中にでも入れておきましょう。

3. fc2ホームページに登録してKifu for JSをアップロード
いちばんのツッコミどころはここですね。現段階で、ブログ上だけではKifu for JSを動かすのは無理がありそうです。fc2のアカウントを持っている人なら無料でサーバーを取得することができます。
もちろん、他にサーバーを持っている場合は、そちらを使っても構いません。
そこに、Kifu for JSのフォルダをアップロードしましょう。また、これから作成するhtmlファイルなどを入れておくための適当なフォルダ(「kifuフォルダ」とします)もサーバー上に作っておくといいと思います。

4. kifファイルをアップロード
柿木将棋などで作成したkifファイルをサーバー上に作ったkifuフォルダにアップロードします。
ただ、そのままやってしまうと、対局開始日時や「手合割:平手」、「先手:人」などの詰将棋には不要な情報が入ってしまう可能性があるので、気になる人はいったんkifをコピーしてテキストファイルで編集してから拡張子を.txtでアップロードしてもいいと思います。(僕が上で貼り付けているのもtxtファイルです。「棋譜保存」ボタンから確認できるので参考にしてみてください。)

5. テキストエディタを開いて以下のコードをコピペ
テキストエディタは「メモ帳」でも何でもお好きなものを使ってください。以下をコピペします。

<!DOCTYPE html>
<head>
<meta charset="utf-8">
<script src="http://makugaeru.web.fc2.com/Kifu-for-JS-master/src/jquery-3.2.1.min.js"></script>
<link rel="stylesheet" type="text/css" href="http://makugaeru.web.fc2.com/Kifu-for-JS-master/css/kifuforjs.css">
<script src="http://makugaeru.web.fc2.com/Kifu-for-JS-master/out/kifuforjs.js" charset="utf-8"></script>
<script>
var Kifu = require("Kifu");
Kifu.settings={ImageDirectoryPath: "http://makugaeru.web.fc2.com/Kifu-for-JS-master/images"};
</script>
<style type="text/css">
body {
background-color: #FFFFFF;
}
</style>
</head>

<body>

<script>
Kifu.load("kominato_kaibun.txt", "board1");
</script>

<div id="board1"></div>

</body>
</html>

ここで、赤色の部分を、さっきアップロードしたKifu for JSフォルダ内のURLに置き換えていきます。「jquery.js」は自分で突っ込んだ場所、「kifuforjs.css」はcssフォルダに、「kifuforjs.js」はsrcフォルダにあります。
駒の画像を読み込む「images」は、フォルダの場所そのものをURLとして書いておきます。
さらに、載せたいkifファイル(もしくはテキストファイル)を青色のところに相対参照で指定します。絶対参照と相対参照の違いがわからない方は、とりあえずファイル名だけをここに書いておいてください。
最後に、表示される盤に「board1」など名前をつけて、ピンク色の2箇所に書いておきます。
こうして作成したテキストを、拡張子を.htmlにして保存し、fc2ホームページにアップロードします。この際、先ほどkifファイルをアップロードしたフォルダと同じ場所(kifフォルダ)に置いておきます。

6. このように動く盤が表示されていればOK
サーバー上でそのhtmlファイルを開いてみて、このように表示されていれば成功です。
http://makugaeru.web.fc2.com/kifu/kominato_kaibun.html

7. インラインフレームでブログに埋め込み
webサイトに盤を載せるのならこれで完了ですが、ブログに載せるにはもう一手間。以下のコードをブログ記事にコピペしてください。

<iframe class="kifuforjs" src="http://makugaeru.web.fc2.com/kifu/kominato_kaibun.html" flameborder="0" width="580" height="560" scrolling="no" frameborder="0"></iframe>

青色の部分を、自分がアップロードしたhtmlファイルのURLに変更すれば、ブログに埋め込むことができます。
なおインラインフレームの属性については一例ですので、適当にググって自分のブログに合わせてください。
例えば、拡大・縮小したいときはこうします。

<div style="width:530px; height:510px; overflow:hidden;"><iframe class="kifuforjs" src="http://makugaeru.web.fc2.com/kifu/kominato_kaibun.html" flameborder="0" width="590" height="560" scrolling="no" frameborder="0" style="transform:scale(0.9);-o-transform:scale(0.9);-webkit-transform:scale(0.9);-moz-transform:scale(0.9);-ms-transform:scale(0.9);transform-origin:0 0;-o-transform-origin:0 0;-webkit-transform-origin:0 0;-moz-transform-origin:0 0;-ms-transform-origin:0 0;"></iframe></div>

赤色の数字が倍率になります。このブログでは、横幅の都合で0.9倍くらいがちょうどいいですかね。



というわけで、Kifu for JS講座、いったん終了。
いやー、面倒くさいですね 笑。
まだKifu for JSのほうにユーザーフレンドリーでない部分が多いので、現段階ではこのように少々手間がかかります。
今後のバージョンアップはあるんでしょうか……?

ともかくこれで、Flashのサポート終了後も詰将棋を載せることができて一安心。
あと、スマホから見られるようになったというのも大きいですね。
今後はKifu for JSにお世話になりそうです。

ポートフォリオ

お久しぶりです。

このところデザインをやっていまして、フライヤーや名刺をつくっています。
詰将棋関係での仕事をまとめておきます。



flyer_mockuped2.png

第14回詰将棋解答選手権 告知フライヤー

今年2月くらいのもの。
例年、解答選手権のチラシは、どうぶつしょうぎなどデザインされているピエコデザイン(藤田麻衣子)さんに依頼しているのですが、今年は諸事情により僕が担当しました。
デザインとしては、従来のチラシを踏襲しています。



takenaka_sample_mockuped.jpg

竹中健一さん 名刺

詰将棋入り名刺デザイン。
シンプルなものに、という依頼だったので、落ち着いた感じにしました。
詰パラ解答王の肩書もリクエストがあったので、スタンプ風に。
盤の罫線を実際の9×9盤からはみ出すくらいまで伸ばすことで、詰将棋の小顔効果を狙っています。



umayabara_sample_mokcuped.jpg

馬屋原剛さん 名刺

これも同じく詰将棋入り名刺ですが、若手ということでかっこいい感じに。
ちゃっかり肩書は看寿賞作家になってます。
文字の配置にかなり苦戦したデザインです。
黒ベタの上に文字を載せると、なんかそれっぽく見えます。

Knight_in_the_Night.jpg

「Knight in the Night」 ロゴ

名刺に載せているものですが、今後馬屋原さんのロゴとして使えそうです。
ナイトの写真を見ながら手書きして、それをAdobe Captureでベクター画像として取り込んで作成しました。一回この機能つかってみたかったので。
コピーの軽い言葉遊びがいい感じな気がしています。



suzukawa_sample_mockuped.jpg

鈴川優希 名刺

せっかくなので自分の新しい名刺も作りたいと思いました。
裏面に載っている詰将棋は短編名作選収録のものですが、psi詰将棋(全体をどのように平行移動しても良い、配置場所によらないposition independentな詰将棋。詰マニより)ということで、あえて盤端を明記せずにデザインしてみました。
このまま解こうとすると非ッ常に見づらいというか、そもそも詰将棋になっているかどうかも怪しく思えるのですが、それも狙いの一つです。
紙はパール加工入り厚口和紙を使っていて、高かったです 笑。実物は角度によってキラキラして見えます。




名刺デザインでしたら片面100枚5000円程度(要相談)でデザインから郵送まで請け負いますので(たぶん)、詰将棋入りの名刺が欲しい方はご連絡いただけたらと思います。
名刺以外や詰将棋関係以外のデザインでも、お待ちしています。

宣伝と宣伝

解答選手権その後のこと。

少し前の話ですが、4/13(木)の朝日新聞夕刊に、チャンピオン戦のこと中心に掲載されています。

championmatchlight.jpg
デジタル記事はこちら→混戦・逆転、藤井四段V3 「詰将棋解答選手権」1点差で決着 (リンク切れに注意)

紙面の1/4ほどの大きな記事。ここまでスペースを割いてもらえるのは嬉しいですね。
なお左下にはちゃっかり自作が載っています。超難解作って 笑。

さらに、4/30(日)のNHK将棋フォーカスでも解答選手権が取り上げられる予定とのこと。
詰将棋イベントがもっとメジャーになっていってもらいたいものです。
来年の参加者数増加に期待がかかります。(今年も、過去最多だったのですが)

あ、あと作家の皆さん、選手権にふさわしい作品をぜひご準備ください 笑。



次の話題。
将棋情報局というサイトにて、詰将棋パラダイスがネット販売されることが決定したようです。
詰将棋パラダイス 販売開始のお知らせと記念キャンペーンのご案内

詰パラはたった5都道府県の限られた書店でしか売られておらず、定期購読するには郵便振替の面倒くさい手続きが必要でした。
将棋連盟の公式オンラインショップ(楽天)でも売られていたようですが、送料が500円もかかるため、多くの人が買っているようには到底思えませんでした。
それが今回、Web上で送料130円で買えるようになったというのは大きなアドバンスド。
しかも現在キャンペーン中につき、高価な書籍が抽選で当たるようです。
コンビニ決済にも対応というのもお手軽でよいですね。
これを機会に詰パラを手にとってみませんか。

解答選手権2017チラシ

今年も解答選手権のスタッフをやります。
ほとんどなんにもしなかった去年とは違い、一般戦のメイン担当を仰せつかっています。
詳しくは書けませんが、まあいろいろ仕事があるもので。

解答選手権の詳細については速報ブログを参照ください。

で、広報のために、毎年チラシをピエコデザインさんに作成してもらっているのですが(※)、今年は僕が作ることになりまして。
Adobeのソフトを購入、見よう見まねではじめてのデザインのお仕事。

※「どうぶつしょうぎ」のデザインをされた藤田麻衣子女流の会社です。

完成品はこちらです。

omote.jpg

ura.jpg

pdfのサンプルはこちら。
オモテ
ウラ

第11回、第12回、第13回と、色がピンク→緑→青ときたので、今年はオレンジにしてみました。
フォントをAdobeで使える無償のものに変えたり、長崎会場のシルエットが鹿児島だったのを修正したり(※)と、まあいろいろ大変でした。
※去年ミスってましたもんね 笑。→第13回初級・一般戦要項

でもこういう作業は実は大好きだったりするのです。(このブログのデザインも元あったやつからけっこうHTMLとかいじってるんですよ)

まあそれはさておき、解答選手権、チャンピオン戦3/26(日)、初級・一般戦4/8(土)です! ぜひご参加を。

MRIの中で詰将棋を解いた話

今日はちょっと物珍しい話を。

うちの将棋部のつてで、実験協力の通知がありまして、ちょうど暇でしたので、被験者として名乗りを上げました。
詰将棋を用いた脳機能計測。

MRIって、寝っ転がってでっかい円筒の中に入っていくアレです。
実は昔、自転車ですっ転んで頭を打った時に一度だけ入ったことがあるんですけどね 笑。
詰将棋を解いている際に、脳のどの部位が活性化するかをその機械で調べるのだそうです。

東大助教の中谷先生の研究室へ赴き、実験の説明を受けること約1時間。
先行研究、チェス。グランドマスターとアマ強豪がチェスの局面で次の一手を考えるのですが、読みの深さで言えば両者それほど違いはない。明白に異なるのは、グランドマスターは最善手を発見するまでの時間が短いということ。直感が優れていると言えるらしい。
プロとアマの間では、思考方法そのものが違うのか……?

中谷先生は山形出身とのことで、今回は将棋を使おうと。プロ棋士にも協力してもらっているようです。

MRIは強い磁場がかかるため、金属が身体に埋めこまれてないかなどの問診や、実験同意書にサインなどを済ませます。
どうやって問題に解答するかというと、両手のボタンで。
左右それぞれ3つずつのボタンを操作して、盤上のマス、そして駒種を選択して、最終手を入力するのです。
9手詰以内、1問30秒以内で解かなければなりません。

操作方法を覚えたら、大学の地下にあるMRI実験室へ移動。この地下、1年生のときにやっていた物理実験で何回も入ったことはあるのですが、MRIがあるとは知りませんでした。ただの壁かと思うようなところに実はノブがついていて、隠し扉みたいに開くんでびっくりです。

スマホやベルトなど金属類を外して、耳栓をして(撮像時はめっちゃうるさいので)、仰向けになって機械の中へサイナラ~~。
目の前に盤面が表示され、ひたすら解くの繰り返しです。
12題×5セットという 笑。
問題は解けるとすぐさま解答入力画面へ移行することもでき、結果的にセット間の休憩時間が増えます。

詰パラで言えばキッズルーム以下の3手詰もあれば、幼稚園としても難しめな9手詰もありました。
30秒の制限時間では焦る焦る。
解けたのは8割といったところですかね。
ただ、問題は解答の入力。両手のボタンでの操作なのですが、もちろん寝転がっているので見えません。手探りです。
トータル5回は操作ミスで誤答したと思います 笑。入力の取り消しが利かないもので。

5セットをこなし、2時間程度で実験は終了。
自分の脳の3D像を見せてもらうことができましたが、ああーふつうの脳ミソだっていう程度です 笑。

結果はゴールデンウィークらへんに教えてもらえるとのことで、まあ待っておきます。
僕は普段は解図しないので、いくら詰将棋作家といえども将棋部の中ではそこまでいい成績は出せません。
脳内に将棋盤がないのがつらいところで、実戦でも数手先くらいしかイメージできないんですよね。
詰将棋も暗算で解くのは今回やった9手詰くらいが限度です。パラだったら小学校でさえ盤に並べますし。
解けって言われると、まあ詰キストとしての慣れで補いつつ、そして明確な狙いのある作品であれば狙いを先に看破することによって解いてます。いい作者の作品ほど解きやすいってやつです。逆に実戦では頓死ばかりですし。
と、そんなことを中谷先生としゃべってました。
もし詰将棋作家が解図するときに使っている脳の部位が違うとかであればおもしろいですね。

そうそう、実験の前に棋力を書く欄があったのですが、僕は段位を持っていないので(将棋ウォーズでは二段~三段でしたが)、
「詰将棋作ってます」
と書いときました。

構想作家の思考回路

ブログを2週間も放置してしまったので、小ネタを一つ出してお茶を濁しておきます。



自作です。投稿はしていません。
ご覧のとおり、玉方銀の往復が狙いですね。
一応解説しておきますと、65銀消去のための「取らず手筋」が序の4手。意味付けは67封鎖です。
次は44銀を打つための香消去に移りますが、65馬~43馬と往復すればよさそう。43への龍の利きを外すために35角と捨てる手が入りますね。
ただし65馬のためには玉方銀の利きをそらしておく必要があり67桂。さらに香消去の後55玉44銀となったときに56を封鎖するため、44玉型で56桂を打って銀を戻しておきます。
そして最後は、35に龍を移動させたがために44銀を取られてしまい、しかし結果的に44の封鎖に成功。65の利きをもう一度外す67桂となります。
なお、9手目56桂と35角の手順前後をすると、33玉から抜け出されますね。

狙いは明快ですが、ちょっと配置がよくないことと、もう1回くらい銀を動かさないとなあということでお蔵入りしていました。
どうにかならないですかね?と会合でとある若手看寿賞作家に見せたところ。

「35角って必要なんですか?」

と。
さて、この発言の意味をくみとって、それに答えを用意してみてください。

僕は曲がりなりにも作者ですから、すぐに意図するところを理解したわけですが。

もちろん途中で35角、同龍としなければ詰みません。そりゃあ必要でしょうよ、と言いたくなりますが、もちろんそういう意味ではありません。
全体の構成として、35角、同龍の2手を省いた詰将棋にならないか、ということなのです。
狙いは銀の往復ですから、大駒捨てとはいえ余分な手は省きたいというのが構想作家の言い分です。つまり65馬、44玉、56桂、同銀生、43馬、55玉としたほうがストレートな表現になりそうですよね。
さっと見ただけでそれに思考がいくのはさすがだなと思いました。

で、僕はそれを半分ほど予期していて、即答したわけですが、さてこの2手を省けない理由はなんでしょう。
もちろん最後の44銀を捨駒にするため、ではありませんよ。それなら最初から44に玉方駒を利かせておけばいいわけで。

……答えは、「57の利きを消すため」です。
4手目、56同玉としたときに65馬で詰ませるため、57は塞いでおかねばなりません。
いっぽうで作意を追ってみます。銀消去から65馬、44玉で43への龍の利きはないと仮定して43馬、55玉と進んだ場合。44銀、56玉、65馬。ここで57が塞がっていたらこれで詰んでしまうのです。手順中44銀を同◯と取っても65馬で詰みですね。
元の図面では、35角、同龍の2手を挟む必要があるため、57の利きがなくなっています。それがゆえに44玉のときに56桂、同銀生として56を塞いでから、最後にもう1回67桂、同銀成と戻す手順が成立しているわけなんですね。

19-40t.png
(65馬、44玉の局面)

35角、同龍の2手は、龍をそらすという攻方のメインの目的をもたせながら、玉方にとってもプラスになるように調整された手なのです。

もともと僕もこの2手はない方針で作っていましたが、銀の往復を加えるためには57の利きを消さなければならないことに思い至り、想定していた作意手順に追加したものです。
こういう創作技術を、僕は広く「挿入」と呼んでいます。

というわけで、詰将棋作家がどういう視点をもって手順を構成しているのか、という例を説明してみました。
ふんふん、と思っていただければ。
この作品も行き場を見失っていたところを、こういう形で世に出せてよかったです。
なお、こうすればもっと往復回数増やせるじゃん、などの意見がありましたらご遠慮なく。
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About
my cubeへようこそ。詰将棋のブログです。駒を並べてアートが表現できるって素敵なことじゃありませんか? 詰キストの方もビギナーの方も楽しんでいってください。

Author:鈴川優希
主に月刊誌「詰将棋パラダイス」に作品を発表している詰将棋作家。東京在住の学生です。詰将棋は小学生の頃から作り始め、2009年5月に詰パラ初入選。2015年12月に最年少同人入り(入選100回)。小~院すべての詰将棋学校で半期賞受賞経験あり。2016年4月より詰パラ連載「ちえのわ雑文集」の世話役に就任しました。原稿随時募集中です。

裏短編コンクール
2015年(第n回)・2016年(第φ回)に開催。使用駒数11枚以上、タイトル必須という条件で募集した作品を出題し、解答者に評価してもらうという企画です。結果発表はニコ生で行いました。作品の結果稿はブログ右袖のカテゴリーからご覧いただけます。なお、この裏短コンはほっとさんのブログ「詰将棋考察ノート」に受け継がれました。

今週の詰将棋・
詰将棋ウィークリー

今週の詰将棋は2009年7月からの2年間100題。詰将棋ウィークリーは1012年3月からの50週は幻想咲花さんとのコラボ、それ以降は鈴川単独の出題で2014年3月まで、#100をもって終了しました。解答していただいた方に感謝します。
※81puzzler閉鎖につき詰将棋ウィークリーの記事にはリンク切れが多いです。

解付き出題
自作を解付きで並べていくだけ。現在#120をもって休止中。在庫整理の意味合いが強いので質より量です。

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