詰パラ 入選162回 同人室

詰将棋パラダイス2019年12月号
同人室

③ 入選162回
東京都 鈴川優希

17-56.png

95銀、75玉、64銀生、同玉、45と、75玉、64龍、同玉、
63角成、75玉、64馬、同玉、63角成、75玉、85馬、同玉、
86金迄17手。

誤7 無4
A28 B6 C0
平均2.82

飯○純五―駒が64に消えてゆく。
津○井康雄―龍のウラにしつこく捨てる手順が面白い。



Kifu for JSのバグでなぜか手順が動かないので、図面で失礼。
課題は「作風が滲み出る作品」。
私はあまり作風がない、オールラウンダーなタイプだと思っているので、この課題は難しかった。
しいて言うなら、収束からの逆算主体で、その逆算の最中に狙いとなる手順を入れることを得意にしている。本作で言うなら、4手一組のリズムで64に捨てるリフレインの味。
それに加えて、詰上りの「腹銀頭金」の形が大好きで、かなり多用している。モデルメイトになりやすいからだ。

詰パラ 入選158回 短編コンクール

詰将棋パラダイス2019年12月号
短編コンクール

22 入選158回 7位
東京都 鈴川優希


誤2 無19
A74 B26 C1
平均2.728

秋○節三―龍馬香の利きを全てそらす。うまいもの。
穂上武○―いつもの手だ、と思いながらも完成度には抗えない。



標準的な作品。
形のバランスがよくて無駄駒がないところはいいかと。

詰パラ 入選157回 高等学校

詰将棋パラダイス2019年11月号
高等学校

高22 入選157回
東京都 鈴川優希


誤0 無0
A50 B24 C3
平均2.61

止少丘八―両王手しない不成が出たと思いきや、打診まで出てきた。
生○大悟―テーマの割りに軽快な手順で好み。



初手が一番の狙いというか、創作の出発点。「成れば両王手なのに、あえて不成とする手」を作れという課題をどこかで見た気がするので、やってみた。
それだけでは簡単なので、双方不成を入れることに。なおこの66桂は狭義の打診にはなっておらず、久保さん風に言えば「不成らせ」。私は「不成強要」と呼んでいる。
逆王手の筋はないが、双玉にすればすっきりと収束してくれるので、83玉の配置はアリだと思っている。

詰パラ 入選156回 臨時中学校

詰将棋パラダイス2019年10月号
臨時中学校

臨中2 入選156回
東京都 鈴川優希


誤0 無3
A44 B31 C3
平均2.52

須川○二―24桂と跳ねさせるのに飛2枚使う贅沢さ。
松○敬―両王手が2回出てきて、楽しい。



派手さは少しあるが、なんだか物足りないということで6年くらい在庫に眠っていた。
改作案も浮かばなかったので投稿したら臨時中学に拾ってもらえた。

詰パラ 入選154回 大学

詰将棋パラダイス2019年9月号
大学

大9 入選154回
東京都 鈴川優希



誤0 無8
A20 B5 C2
平均2.66

加賀○志―少ない駒数で一手一手含みのある手順。きれいな捌きでいうことはありません。
津○井康雄―簡素な初形だが、手順は茫洋としておらずしっかり解き応えがある。



こんなものでも、収束からの逆算で作っている。61角と72歩は置きたくなかったが、しょうがない。
余詰の検討が大変で、ソフトでは心もとなかったので人力がメイン。
解くのも難解かと思ったが、それほどではなかったようだ。好手は32桂成くらいなので、おおよそ手なりになってしまっている。
狙いとしては、最初に合駒された角を2回動かし、後から取って、それを最後に捨てて詰め上がること。

詰パラ 入選153回 短期大学

詰将棋パラダイス2019年8月号
短期大学

短9 入選153回
東京都 鈴川優希


誤0 無16
A33 B5 C1
平均2.82

占魚亭―これは見事な捌き。後半の翻弄がいい味です。
黒○和樹―収束決まりすぎてて凄い。解いてて気持ちいい。
☆玉の頭の捨駒を龍で取らせて返す刀で尻金捨て、という手順が3度繰り返されるリズミカルな手順で、スッキリしたまとまりはいつもながら匠の技。(解説:石黒○一)



狙いのはずのソッポ金が当たり前の着手すぎて微妙、と思っていたが、解説では「頭、同龍、尻金」のリズムに着目してもらえた。
私自身はそれを言語化できていなかったので、言われてみてなるほど、という感じ。作者の気づかないところにまで踏み込んでもらえる解説はありがたい。

詰パラ 入選152回 高等学校

詰将棋パラダイス2019年7月号
高等学校

高5 入選152回
東京都 鈴川優希


誤3 無9
A57 B16 C2
平均2.73

占魚亭―気持ちの良い軽さ。好きです。
本○瑞生―収束、指がしなる。



これといった狙いはない、ただの手筋物。
一応、2手目同玉の変化と3手目18金の紛れがちょっとおもしろいか。分岐を参照ください。
高校は期末に好作を集めすぎる傾向にあるので、半期始めはこんなものでもやたら高得点が出たりする。

詰パラ 入選155回 同人室

詰将棋パラダイス2019年6月号
同人室

⑤ 入選155回
東京都 鈴川優希


誤0 無15
A18 B2 C1
平均2.80

中○慶一―2枚飛を捨てることで銀を成駒にして同じ位置にもどす。構想が素晴らしい。
黒川○樹―77飛が見えず苦戦しました。ゴツイ飛車ですね。
竹中健○―77飛~76飛は、なかなか気づかなかった! 絶妙手ですね! 今回の構想作テーマではナンバーワンだと思いました。



あえて守備駒の利きにぶつけて限定打する筋は昔からよくある。それを2回行って、玉方銀の成らせというテーマを組み合わせたのが本作。
特に77飛という手は攻方の馬の利きを遮ってしまうので相当やりにくいはず。紛れは多いわけではないが、心理的な難しさのある作品で、詰工房で出したら宮田プロや解答王の竹中さんもなかなか解くのに時間がかかっていた。
収束をまとめるのに1年以上かかってしまったが、おそらくこれが最短で最善だろう。

ところで、本作のアイディアを閃いたのは、宗看の無双51番のおかげ。


銀にぶつけて飛2枚を限定打するというコンセプトは同じ。
この構図を1段下げたら、銀の成らせができるんじゃないかと思いついた。
もちろん、飛2枚を消費する見返りに銀を成らせるメリットを考えなければ成立しない。
(無双の図で)25銀が成銀になったら、34の守備が消える。それによって収束に入るように作ればいい。
しかしそれだけでは不足で、34の守備を消すためだけなら飛は1枚捨てれば充分ということになってしまう。26成銀ではダメで、25成銀ではないといけない理由が必要なのだ。
それを実現させたのが今回の発表図というわけ。88馬のラインの開閉に、ロジック成立の鍵を見出した。



ここからは完全に蛇足ですが、無双51番をできるだけ原作の雰囲気を残しながら現代風に改作してみた図がこちら。


他人の作品をむやみに改作すると顰蹙を買う世の中ですが、古図式は著作権も消えていますし、節度をもってやるぶんには創作技術の向上に最適だと思うのですが、どうなのでしょうか。

詰パラ 入選151回 A級順位戦

詰将棋パラダイス2019年6月号
A級順位戦

② 入選151回
東京都 鈴川優希


誤1 無3
5-10 4-11 3-9 2-1 1-0 ※2
平均3.967
3位残留

川島○嗣―初手の発見に呻吟。16飛から敵銀を1回転させるシナリオに感嘆。
○下誠―玉を守る2枚の銀の成生の綾に精妙な味わいがある。
☆銀を成らせる構想も、銀を1回転させる構想も、よく見かける。しかし、2枚の銀を絡ませて一つに織り込んだ作品は珍しいのではないだろうか。(解説:夏風)



初形から16銀を18成銀に変化させて、頭金迄の1手詰。うまくできた。
序の2手を入れるのに非常に苦労していて、何がそんなに難しいのかというと、
・初手27歩、同銀生、17金は逃れ
・初手17金、同銀成、27歩は詰む
という紛れと作意の両立が大変なのだ。
36玉と避けられた時の詰ませ方で手順前後の違いが出るように作らなければいけないのだが、さらに条件として
・初手17金に36玉は詰む
・初手18桂に36玉は詰まない
という切り分けも必要なのである。
四苦八苦しながら最初に到達した図がこちら。


初手に捨てる駒を角にしたことで、36玉の変化を35角と出るようにして詰ませている。この変化で金4枚を使い切るようにしているので、初手27金~17角は詰まないという仕組み。
もちろん、こんな図のまま世に出すわけにはいかないので、再度いじりまわして到達したのが発表図ということになる。玉方の銀が27に来たときに38にも利いてくることに気付いたのが鍵だった。(その間に別の論理で変化紛れを切り分けた図もいくつかできたが、すべてボツにした)

発表図も、決して置駒が少ないわけではないのだが、なんとか狭い範囲に収まって誤魔化せていると思う。38香は少し気持ち悪い配置かもしれないが、37で清算して38金と据える筋や38桂の余詰を消しているのに加えて、36玉の変化で積極的に働いている(つまり、もし二歩が許されたとしても38歩配置ではいけない)という絶対性があり、効率はよい。このあたりは、推敲の成果だ。

詰パラ 入選150回 大学

詰将棋パラダイス2019年5月号

大14 入選150回
東京都 鈴川優希

35-8.png泣斬馬謖きゅうざんばしょく




詰パラの結果稿では棋譜の参照記号が抜け落ちていたり、作者コメントが中略されたりして言いたいことが伝わりにくくなっている(そして誤植もある)ので、ここでしっかりと解説しておきます。
久しぶりの構想作なので、少し気合を入れて。

まず初手はどう考えても69銀だろうということで、ここから考えてきます(図1)。

35-8fig01.png図1

ここで玉方の持駒は金銀歩しかありません。ろくな合駒ができないので、55地点に移動合して受けるしかないのですが、例えば55桂跳ですと同香、同馬、同龍以下詰みです。
というわけで、55への利きを増やすため、いったん58桂成と捨てておきます。これは自然な応手です。
同香となって図2

35-8fig02.png図2

ここで55桂跳ですと、44龍と捨てるのが好手で、同玉に56桂と両王手をかけます(図3)。

35-8fig03.png図3

53玉と戻るのは65桂の1手詰ですし、33玉は42銀生、32玉、41銀生、33玉、34歩、同玉、24と、35玉、25と迄の詰みが簡明です。
したがって、55桂跳の受けは詰んでしまうことが分かりました。

35-8fig02.png図2再掲

というわけで図2に戻って、55角成もしくは55馬と受けることになりそうです。どちらが正解なのかはまだ判断できませんが、とりあえず55角成としておきます。以下、44龍、同玉、56桂、53玉と同様に進んで、65桂を同馬と取ることができるのが55角成の効果です。
続いて、64桂と跳ね出したところが図4

35-8fig04.png図4

この局面で、玉方は困っています。というのも、何か合駒をしたとして、次に52桂成、同香、54歩、同馬、42銀生までの詰みがなかなか防げないからです。
唯一の手段は、取歩駒である馬を自ら消しに行く、56馬!という手です(図5)。

35-8fig05.png図5

しかしこれも、その場しのぎの応急策でしかありません。同香と取ってみれば、玉方はまた合駒に困ります。前に利く駒は渡せませんから、55桂打などと粘るしかありませんが、同香(次に65桂迄の詰み)、同馬と進み、結局は52桂成から54歩と打たれてしまうのです。これでは、避けようがありません。

というわけで、もうお気づきかもしれませんが、少し戻って図2の局面では55馬と、こちらで移動合するのが正解です(図6)。

35-8fig02.png図2再掲

35-8fig06.png図6

44龍、同玉、56桂、53玉、65桂、同馬、64桂、56馬で図7

35-8fig07.png図7

同香に55角生!(図8

35-8fig08.png図8

これなら、52桂成、同香に54歩が打てません。
後から角生として打歩詰に誘致するために、先に馬で移動合して、その馬を捨てる。玉方馬先馬角が狙いでした。
角の連続移動合という派手な手順の中に構想を組み込んだことに価値があると思っています。

ちなみに、タイトルの「泣斬馬謖」ですが、十八史略(つまり三国志)の故事成語です。「泣いて馬謖を斬る」とも言います。

馬謖は中国の三国時代の蜀(しょく)の武将で、諸葛亮(しょかつりょう)の信任をうけて参軍した人物である。 馬謖は街亭の戦いで命令に背き、戦略を誤って魏軍に惨敗した。 諸葛亮にとって馬謖は愛弟子であるが、軍律の遵守を最優先させるため、命令に背いた馬謖を斬罪に処し涙した。 この故事から、規律を保つためには私情を挟まず、違反者を処分するたとえとして「泣いて馬謖を斬る」と言うようになった。

19馬が馬謖。愛する臣下を泣く泣く斬り捨てる場面(56馬)をイメージして命名しました。

さて、解説に戻ります。メイン部分は馬先馬角ですが、この後もいろいろ仕掛けがあります。
とりあえず図8の局面から同香、同桂と取ってしまってから考えます(図9)。

35-8fig09.png図9

どうにかして歩を打とうと画策するなら、次のような手段が思い浮かびます。52桂成、同香、86角(図10)。

35-8fig10.png図10

86角が明らかに非限定なので、作意ではない感はありますが、有力な順です。
しかし、75桂合、同角、同飛生!、65桂、同飛で、これは惜しくも詰みません。

図9に戻って、今度は35角と、こちらから打ってみましょう。これには44香合(図11)が最善の受けとなります。

35-8fig11.png図11

以下、同角、43玉、65角、54飛合(他合は33角成、同玉、34香で詰み)となって、まだまだ手は続きますが紙一重で逃れています(図12)。62角成には47桂打合、また55角には45桂合です。

35-8fig12.png図12

それでは、どこがいけなかったのでしょうか。岐路は55角生の局面、図8にあります。

35-8fig08.png図8再掲

ここで、先ほどは同香、同桂、35角に44香合で逃れました。
この香は、攻方が今渡したばかりの香です。そして、玉方の駒台には、他に香はありません。
つまり……この55角を取って香を渡してしまう前に、あらかじめ35角と合駒を訊いておけばいいのです。これには44桂合が最善となります(図13)。

35-8fig13.png図13

ちなみにこの35角は限定打で、17角ですと26歩合、同角、44桂合、55香、43玉で逃れとなります。まあ、わざわざ17から打つ人はいないでしょうが。

図13から、55香、同桂、44角、43玉、65角、54飛合と進んで図14

35-8fig14.png図14

図12と比べて、持駒が香から桂になっていることが分かります。
(それによって33角成、同玉、34香の筋がなくなっているのでこの54合は飛でなくてもよさそうですが、結論から言うと飛が最善です。理由は後述)

35桂、32玉、54角で図15

35-8fig15.png図15

ここで43合はどのように攻めてもボロボロに詰むので、41玉の一手。
いよいよ収束です。32角成!、同玉、33角成!、同玉、34飛!、同玉、24と、35玉、25と迄35手詰(図16)。

35-8fig16.png図16

メインの構想部分で活躍した角2枚に加えて、合駒で奪った飛までも連続で捨てての詰上りは気持ちいいかと思います。
収束というのはかくありたいものです。

ここからは補足です。図14では54飛合としていましたが、代わりに香合とした局面が図17

35-8fig17.png図17

作意と同じように、35桂、32玉、54角以下の順で詰みます。最後に34に捨てる駒が飛から香車に変わるだけです。
では、ここの合駒は非限定なのかというと、そんなはずはなく。
図17で、55角が見えにくい手。いろいろな応手が考えられるので面倒ですが、例えば44銀合ですと、同香、32玉、54角、43歩、33銀、同玉、43香成みたいな感じで、いずれも作意より短い手数、もしくは同手数駒余りで割り切れています。
作意のように54飛合としておけば、55角には45香合、同香、34玉とかわして逃れているわけです。
解答者の中には、ここの飛合、香合を間違えて誤解した方が多いように思われます。
変別含みの割り切り方(しかも煩雑)なので、ちょっと申し訳ないのですが、しかし実は誤解に気付くことが可能なタイミングがあります。

35-8fig18.png図18

図17から35桂、32玉、54角と変別順に入ってしまった局面が図18
41玉なら32角成以下きれいに詰むのですが、ここで43飛合が非常にいやらしい合駒となります。
ありとあらゆる王手が詰む、といっても過言ではない状況なのですが、不思議なことに、どれだけ頑張っても37手かかってしまいます。つまり、変長なのです。
これはおかしいぞ、ということを直感した方は、図17まで戻って55角という割り切り方に気付き、54は飛合だという結論に到達できるものだと考えられます。
飛合の作意順なら、図15において43飛合は売り切れなので、この変長の問題は解消されるのです。

35-8fig15.png図15再掲

作家目線から言うと、この43飛合という変長順を消すために、どうしても盤上どこかに飛を1枚置かなければいけませんでした。
いろいろな方法を検討したのですが、79飛として置くことによって、①初手~2手目の応酬が逆算できる、②図10の紛れが飛生で逃れる、という2つの活用法を見出せることに気付き、これに落ち着きました。
創作の過程で盤面が広がっていった背景にはこのような経緯があったのです。

それではここで、動く将棋盤で作意を並べておきます。ついでに、結果稿の一部も。



誤5 無8
A18 B4 C1
平均2.73

竹○健一―成生決定の余地を後に残す55馬と、56馬~55角生とか、すごい技を繰り出してくれますね!
占魚亭―体を張った馬のガードから打歩詰誘致の角不成の流れが素晴らしい!
○下誠―びっくり箱のように変則合が飛び出すが、最後は大駒を捨てきって鮮やかに収束する。



創作過程について少し書いておきたいと思います。
おそらく、作り始めてから完成まで5年ほどかかっています。
原図は実は13手詰。


エッセンスだけを抽出したような図です。
角2枚を移動合して、それをパクパクと取って、2枚とも捨てて詰上り。ストーリー性としては充分かと思いますが、いかんせん13手にしては駒が多すぎます。収束用の34歩・35香の配置もダサい。

最終手が44歩迄の突歩詰になったらちょっとはいいかも……と思っていたら、それは10手目64飛合という手があるので、手数が長くなってきそうです。
ただ単に詰めばいいわけではなく、角連続合のテーマでやるからには、収束はどうしても角を2枚とも消さなくてはいけないという意地があります。
そうして見つけた新しい収束の図がこちら。


発表図にちょっとずつ近づいてきた感じでしょうか。
23手目、24飛迄で詰みというように短く切りたかったところですが、18手目の33合がどうしても割り切れずに苦戦します。ここの変長は、この段階から曲者だったわけです。

そしていろいろ試行錯誤し、欲張って収束に飛も捨てられるように作ったのが次図。


ここまで来ると、発表図までもう一息です。
ちなみにこの図は、詰上りからの逆算で作っています。
私の使う常套手段、つまり、「再構成逆算」です。

正算で収束をつける場合、盤上で駒を動かしながら収束手順のイメージをしたら、いったんその図を忘れて、詰上りからの逆算で一から作り直すのです。これが再構成逆算です。
すべての詰将棋は、逆算で作ることができる。そして、逆算で一から作れば、不合理だった配置が整理されて手順成立の条件も理解しやすくなる。こういったアイディアに基づいた手法が、私の提案する再構成逆算なのです。
私の創作手法については、またいずれ詳しく書いてみたいと思います。

とにかく、収束で角角飛と捨てる図に行き着いたわけですが、この図で注目すべきポイントは、玉方36歩という配置です。
36歩の何がいいのかというと、これによって、さらなる逆算の道筋が開けているのです。

35-8fig19.png

上の図から2手逆算すると、こうなります。
56桂はただの両王手ですが、実はこの手、5筋の香車のラインを止める手なので、現実的にはなかなか入りにくい逆算です。36桂と跳ねるほうが普通は有利だからです。
それを可能にしたのが、36歩。詰上りでの単なる壁駒として置いた歩が、こんなところでいい働きをしてくれました。

この2手が入ればしめたもの。
さらに逆算して、ついに発表図を得ました。

こうして見てみると、発表図のメインの構想である馬先馬角は、実は創作の最後の段階になって逆算で追加されたものなのでした。
私は普段、構想作を作らないというか、なかなか作れません。
大概は逆算がメインで、逆算によって狙いの手順を入れるという方法をとっています。
今回はその手法がとてもうまく働いた例でした。



当初の予定以上に長々と書いてしまいました。
まあ、長い間温めてきた作品なので、愛着はあります。
作っている途中のどこかの段階で満足してしまったら、この発表図に行き着くことは絶対にありませんでした。
これ以上よくなるアイディアが浮かばない、といった場合でも、年単位で寝かせておけばある時ひらめくことがあるものです。
ともかく、この作品を納得のいく形で世に送り出せて満足しています。
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About
my cubeへようこそ。詰将棋のブログです。駒を並べてアートが表現できるって素敵なことじゃありませんか? 詰キストの方もビギナーの方も楽しんでいってください。

Author:鈴川優希
主に月刊誌「詰将棋パラダイス」に作品を発表している詰将棋作家。東京在住の学生です。詰将棋は小学生の頃から作り始め、2009年5月に詰パラ初入選。2015年12月に最年少同人入り(入選100回)。小~院すべての詰将棋学校で半期賞受賞経験あり。2016年4月より詰パラ連載「ちえのわ雑文集」の世話役に就任しました。原稿随時募集中です。

裏短編コンクール
2015年(第n回)・2016年(第φ回)に開催。使用駒数11枚以上、タイトル必須という条件で募集した作品を出題し、解答者に評価してもらうという企画です。結果発表はニコ生で行いました。作品の結果稿はブログ右袖のカテゴリーからご覧いただけます。なお、この裏短コンはほっとさんのブログ「詰将棋考察ノート」に受け継がれました。

今週の詰将棋・
詰将棋ウィークリー

今週の詰将棋は2009年7月からの2年間100題。詰将棋ウィークリーは1012年3月からの50週は幻想咲花さんとのコラボ、それ以降は鈴川単独の出題で2014年3月まで、#100をもって終了しました。解答していただいた方に感謝します。
※81puzzler閉鎖につき詰将棋ウィークリーの記事にはリンク切れが多いです。

解付き出題
自作を解付きで並べていくだけ。現在#120をもって休止中。在庫整理の意味合いが強いので質より量です。

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