第33回詰将棋全国大会参加記 後編 in名古屋

前記事から続いて、後編です。

ゲストハウスで起床したら9時半。熟睡しておりました。
喫茶店で時間を潰しつつ、会場に到着したのが12時少し前。
正直、前夜イベントが終わってほっとしていたという感じで、全国大会は気楽に過ごそうという気持ちでした 笑。

受付が始まる時刻には、すでに会場に行列が。
知り合いに挨拶しつつ、受付を通過して前のほうの席を陣取る。
その後は、会が始まるまで名刺交換のためうろついていたり、記念詰将棋を解いたりしていました。
今年の記念詰将棋は、第33回大会にちなんで初形曲詰「3」とあぶり出し「3」のコラボ。どちらも完成度高めな割に易しい作品で、僕でも暗算で解けました。記念詰将棋としてまさにベストです。作者当てのおまけつきでしたが、ちゃんと2作とも自信をもって回答しました。

定刻通り開会して、やはり司会は今年も石黒さん。
SNS禁止、プロ棋士との写真撮影・サイン依頼禁止といった告知は今年ならではでしたが、まあ仕方ないところですね。
各氏の挨拶も滞りなく進んでいきました。谷川九段の自虐風ジョークがおもしろかったです。

看寿賞表彰は、柳田さんの突然の図らい(?)によってインタビュー形式になったことが去年からの変更点ですが、これは言われているように例年通り普通にスピーチしてもらったほうがよかったでしょうね。
あと、受賞者全員が揃うっていうのはレアケースなんじゃないでしょうか。
というか、こうして並んでみるとやっぱり若手全盛期という感じ……。
作品解説は柳田さんではなく運営委員の堀内さんが担当。さくさくと進む解説で聞きやすかったですが、毎年思っているように看寿賞作のエッセンスを短い時間で語り尽くすことは不可能なので、来年に向けてどのような層を対象にしていけばよいかが論点になりそうです。今回は、例えば「LCM」は、なぜ飛角の位置を変えなくてはいけないのかが一切解説されないまま「最小公倍数原理です」というだけで終わってしまっていたので。

七條賞、門脇賞表彰も、受賞者が参加されているというのはやっぱりいいですね。
藤井四段は、解答選手権で会ったときよりもさらに大人びている印象でした。

握り詰作品の紹介は水谷さん。
解説はスピーディーながらツボを押さえていてとてもよかったです。作者によるアピールタイムもこうあるべきって感じでした。
あと今年は使用駒の関係もあって、易しい作品がそろっていました。(去年みたいに「これは……!」という作品はありませんでしたが)

休憩時間中に握り詰めと記念詰将棋の解答を出し、そして書籍コーナーをうろついていました。短編名作選2冊と、解答選手権2017年鑑を入手しました。どちらも僕が解説に協力させてもらっていますので、ぜひご一読を。また詳しく紹介する機会はあるかと思いますが、短編名作選は詰キストを名乗るなら必読書となるかも、というくらいの内容だと宣伝しておきます。

第2部はレクリエーション。
ミニ解答競争はここ近年の流れをくむスタイル。時間が15分に伸びたということで、少しはゆっくり問題に向き合える余裕ができました。
30題で90点満点ですが、僕は一般人枠の平均みたいな点数、43点。いやこれでも健闘したほうかと。問題のレベルも去年の塩見特集に負けず劣らず、好作の寄せ集めでした。よく作るなあと思います。
今年は決勝戦はなく、単純に点数で上位陣の順位が決定。藤井四段の優勝は、もう実力以外の何物でもないというものですね。柳田会長も去年に続きステージに上がられるのもすごいことです。

レクリエーションその2は、ヒルナンデスでやってる「クイズ3分で当てましょう」みたいなもの。まあ結果的に今回の地雷企画となりましたね 笑。
スライドが表示されなかったのはまあ当日のトラブルは付き物で仕方ないとして、運営自体がやたら大変そうな企画でした。前日までに詰キスト100人にアンケートをとって、それを当日集計するっていうのと、複雑なゲームルールの中でうまく進めていくのが……。進行を打ち合わせなしで丸投げされた石黒さん、お疲れ様です 笑。
あともう一つこれは失敗だなーと思ったのは、詰将棋マニアでさえ答えるのに窮するようなクイズなのに、詰将棋を始めて間もない方々にステージ上で無理やり答えさせるというのも、なかなかの鬼。「愛知県の詰キストといえば」「指将棋の強そうなアマチュア詰キストといえば」なんて質問、僕でさえ厳しいのに、しかも1~3位は先に答えを開けられてしまうので無理。「人」に関する質問なんて、その人にどんな失礼にあたるかわからないので、ビギナーだったらなおさら答えられないでしょうし。
というわけで、そういうライト層が楽しめないような企画は全国大会として本末転倒だなあと思って眺めておりました。来年への課題。
あ、景品の藤井四段サイン本がここで登場したのはめっちゃうらやましかったです 笑。

以降、恒例の一人一言は省略の流れで記念撮影をして全国大会は閉幕。
一旦解散となって、近くの懇親会会場へ向かうなりぐだぐだしてる間に、また名刺交換が捗ります。

今年の懇親会はなんだかおしゃれな会場でした。広さ的にも、ちょうどいいくらいですかね。
始めての方ともいろいろお話しできました。ここに書いててもキリがないので書かないですけど。
記念詰将棋の作者当てが的中したということで、駒の消しゴムと図面用紙を景品でもらいました。
服部さんの乾杯の音頭と、久保さんの締めも去年から引き続き。あ、今年は一本締めの合図は宮原くんでしたか。

2次会、3次会では例によってテーブルの上に盤が出てくる展開になります。
1年に1回、ここまで詰将棋に浸れる日というのも贅沢なものです。しかも今年は前夜イベントもありましたので、満足度は高いです。

この日、24時過ぎの高速バスに乗って東京へ帰りました。
生活リズムが未だに回復しません……。

さて、懇親会の場で、来年の首都圏開催ではやっぱり若手が中心となってプロデュースするよう言われてしまったので、まあ就活などに差し障りのない範囲で最大限がんばりたいと思います。
今週末の詰工房で、さっそく状況をうかがうというか、運営が発足される感じになったらいいと思うんですけど、皆さんどれだけ来られるんでしょうか……。全国大会で燃え尽きてたりしないですよね……?

第33回詰将棋全国大会参加記 前編 in名古屋

全国大会参加記は毎年、詳細なレポート風のものを書いてるのですが、最近は若手詰キストによるブログであちこち書かれているのと、あと単純に面倒だと思ったので 笑、今年はやめておきます。

今年、全国大会以上に自分にとってメインだったのは前夜イベントのほうで、講師を任されていたのでそれなりに準備して臨みました。
去年の全国大会で元水さんに声をかけていただいて、果たして何を喋ればいいものやら……とずっと考えていました。
僕は例えば詰将棋の構想面で先端を行く作家でもないですし、詰将棋の歴史に詳しいわけでもないので、そういうところを喋るのであれば自分以外に適任がいるはず。自分でないと喋れない内容で、そして「参加されるのは詰キストばかりなので、内容は上級者向けでお願いします」と言われていたため、それにふさわしいものを……と考えると、一つ浮かんできました。
「美学・藝術学の視点から現代詰将棋を俯瞰する」
大学の教養学部時代に、美学を扱う講義を取っていて、そこで話される内容が詰将棋と関わりのある形で自分の頭に入ってきたものですから、どうにかこれをテーマとして今回の機会にお話できないかと思いつきました。
美学の入門書をいくつか繙いて、それを詰将棋にあてはめた際にどういうものが見えてくるのか。何か新しい考え方の一つでも提示できればいいな、と思っていたのですが……すいません、いかんせん時間切れです。あと僕の実力不足です。
クリティカルに詰将棋に迫るような内容をまとめあげられないまま当日が迫ってきて、急いでレジュメとスライドを作成。あとは自分のトークでどれだけ議論を呼べるかに期待を託すことにしました。

15日、朝7時東京発の高速バスに乗って名古屋へ。たいへんな渋滞で、名古屋駅に着いたのは15時過ぎでした。
名古屋に住んでいる高校の友人と軽く話して別れ、会場の「ウインクあいち」に着いたのは18時15分くらい? なかなかギリギリになってしまい申し訳ありませんでした。
会場にはなんと70人近くの詰キストが集合しており、せいぜいたま研くらいの人数だろうと予想していたのでこれは驚きました。

準備の都合などで、3つある講義のうち堀内さんのソフト紹介が先に回されました。
内容的には、まあ普通にネット情報をチェックしていればだいたい知っている、というようなオーソドックスなもの。質疑応答でいろいろな情報提供がなされて、受講者のレベルの高さに講師たじたじな印象 笑。金子さん作成の諸ツールの使用レビューを聞きたいところです。

堀内さんの講義が短く終わったので、10分ほど繰り上がって僕の講義が開始。
会場で配られていたレジュメが、僕が事前に送っていたものとレイアウトが崩れていたり数式が消えていたりして、誤算。docxファイルじゃなくてちゃんとこちらでpdf化してから送ればよかったですね。
正しいレジュメをこちらに載せておきます。

美学・芸術学の視点から現代詰将棋を俯瞰する

なお講義にはPowerPointによるスライドも使用しましたが、こちらは非公開とさせてください。
レジュメを見ていただければわかるように、ガチガチの美学入門みたいな講義です。最初のほうは自己紹介やイントロダクションで受講者の反応も見て取れたのですが、藝術の定義云々の話になっていくと、ドロップアウトされていく方が結構出てきたなあと見渡しながら喋っていました 笑。
このあたりをいかに興味を引くように聞かせるかは講師の腕だと思うので、まだまだです。

後半になって、詰将棋はデザインとしての面が強い、というような話から、最後美学の視点から見た詰将棋の今後について議論のポイントを挙げて、ここで締めとしたのですが、このあたりは多少食いつきがよかったかなと思っていました。
もし別の機会があるなら、このあたりを論理的に深めていきたい気もしています。
質疑応答では、柳田さんから、湯村氏による「制約の美」という詰将棋感について教えていただきました。この点に関しては、日頃僕が感じていることにまさに一致していて、今回の講義でも可能であれば話したいと思っていたことで、美学を踏まえた上でどう扱っていけばいいかがポイントになりそうです。
次に、北村さんから「デザインとしての詰将棋」の話に関連した意見をいただきました。講義中の、「詰将棋をデザインとして捉えるなら、作者名を表示しなくていい場合もあるかもしれない。例えば、新聞詰将棋」という内容に反対するような趣旨でした。僕がそれにレスポンスしている流れの中で、別のお二人からも意見をいただきましたが、どんどん横道にそれていく方向だったことと、意見の内容をやや違ったふうに僕が解釈してしまい回答が噛み合わなかった感じで、混沌としてしまったのは反省点です。
このあたりで時間切れ。今回話しきれなかった内容はまだまだあるので、いつかまた議論を交わせたらと思います。

講義の3つ目は、久保さんによる連合の話。
さすがに最近の作品は僕も理解しているつもりなので、復習しつつ、一方で久保さん独自の分類の上手さ、説明の上手さに感心しながら、楽しく聞いていました。
講義の収束をもう少しまとめたかったところではあります 笑。

セミナーの後で、講義の感想を言いに来てくださった方が何名かいて、とても嬉しく思いました。
大学で美学をかじっていまして……という方が、今回の講義名を見て参加を決めたとおっしゃっていて、ほんとうにありがたい限りです。やってよかったなと思いました。

解散後、コアメンバー入り交ざった形で二次会へ。
いつもどおり自作を並べる会となりました。
でも今回一番の収穫は、山路さんの看寿賞作の創作過程を聞けたことです。純粋に感動。いやー詰将棋ってこうやって作ればいいんですね。

夜も遅くなって、名古屋勢の終電が迫ってきたたところで解散。
僕は資金難につき、一泊2500円のゲストハウスに宿泊しました。大学に入ってからよく自転車で旅行に行くのですが、長旅でゲストハウスにもよく泊まっているので、こういう環境のほうが落ち着くものです。たとえシャワーのお湯が出なくても。

つづく。

詰パラ2017年7月号雑感

ブログを1か月も放置してしまったのは初めてです。
トップに広告が表示されてしまい見栄えが悪いので、更新しておきます。

詰パラ7月号の雑感ですが、とりあえずやっぱり看寿賞ですね。
受賞された皆さんおめでとうございます。若手がほとんどを占有することになりました。
今年は、大きな波乱(?)もなく、受賞すべくして受賞した、というラインナップだったように思います。

短編の上谷作。作者ブログのリンクも貼っておきます。→フェアリー時々詰将棋
初めて作品を見た時は、久し振りにきりりと締まった好短編が現れたな、と思ったものでした。文句なしに今年のトップ短編でしょう。
武島作は高水準の平常運転ということで、頭一つ抜け出た作品があった、という印象は今年はありませんでした。9月号高校17手は以前も書きましたが大好きです。
あとは、このブログの裏短コンから、「スパイラル」に何票か入ったことは嬉しかったですね。→結果稿
僕としては、看寿賞としてはやっぱり角生非限定が気になる&もう一押し欲しい、ということで積極的には推せないと思っていたので、これが次点であることに異論はまったくないですが、選考討議の中で、ネット発表であることが受賞を逃した一因であるように書かれているのには些か不満を感じました。
というのも、裏短コンは通常のネット発表どころか、詰パラ本誌よりも魅力ある発表場所だと自負していますので(権威はないですがね)。
ただ、やっぱり自信作は詰パラに出すという風潮は今後も続いていくでしょうね。例えばスマホ詰パラに好作が出たとしても、それは作者が「褒められた作ではない」と感じての投稿である可能性は高そうです。
そうなると、やっぱり看寿賞は作者にとっての自信作を選びたい、という考えにも一理ある気はします。

それでも世の中には「詰パラには見限りをつけた」と言って大作をネットで発表するようになり、そして実際ネットから看寿賞を獲ってしまった方もいるのでまた悩ましいものです 笑。

中編賞にも異論はありません。相馬作は衝撃的な作品でこれが受賞しないことには……な内容でしたし、山路作も奇跡的な手順です。
もう一歩のところで受賞を逃したのは小林作と梶下作でしたか。発表するタイミングによっては受賞もありえた、という内容だったと思います。
なお、鈴川の選ぶ2016年中編ベストは9月号大学のかめぞうさんです。仕方ないとは言え、半期賞を逃した上に、看寿賞でも一言も触れられないのはさすがに寂しかったです。

長編は、なんといっても馬屋原さんの受賞が嬉しい。「手裏剣」、これこそ究極の知恵の輪の姿です。
馬屋原さんといえば、看寿賞や握り詰や短コンで次点になることが多く、作家としての能力に相応する評価がなされていない印象をずっと抱いていました。
詰パラ2016年5月号で僕がたま研結果稿を書いた時に、馬屋原さんを「看寿賞に最も近い作家」としていますが、その予想が最速で当たりましたね。
あと、久保さんの「LCM」は受賞確実だと思っていたので、特に今コメントすることはないですかね。
2016年の全国大会で、久保さんが一本締めの音頭(たぶん)の時に、「来年は「位置エネルギー」だけの作家じゃなくなってると期待してください」などと喋っていたのを覚えています。これもある意味メタ発言となりました。

さて、看寿賞について書いてきましたが、意外に言いたいことってあるものなんですね 笑。
それ以外の詰パラ雑感を書こうと思っていましたが、実は今月、あんまり触れるような内容がないです。
いつもの、「今月の結果稿お気に入り!」は次の通り。短評形式で。

小20 この詰上りは見飽きたと言いたいところだが、飛の振り子運動を表現できるとは! 構想力と作図力に感嘆。
高20 あまりにきれいすぎる収束だが初めて見た気がする。逆算も適切。

あれ、意外に少ない。
他は、大11がおもしろい構想だと思いました。春霞賞有力候補?

さて、全国大会が4日後ですね。
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my cubeへようこそ。詰将棋のブログです。駒を並べてアートが表現できるって素敵なことじゃありませんか? 詰キストの方もビギナーの方も楽しんでいってください。

管理者:鈴川優希
月刊誌「詰将棋パラダイス」を活動拠点とする詰将棋作家。石川県のド田舎育ちですが、大学進学とともに東京へ。詰工房などの会合に顔を出したり、解答選手権などのイベントを運営したりしてます。詰将棋は小学生の時から作り始め、2009年5月に詰パラ初入選。2015年12月に最年少同人入り(入選100回達成)。半期賞受賞6回。2016年4月より詰パラ連載「ちえのわ雑文集」の世話役に就任。現在、第一作品集を執筆中。出版は今夏を予定していましたが果たして……。

第n回裏短編コンクール
2015年11月に開催した企画で、7手詰を募集して17作を出題しました。45名もの方に解答していただき感謝です。順位発表はニコ生で放送するという新しい試み。

第φ回裏短編コンクール
2016年、裏短コン2回目の開催。9手詰25作出題の大盛況でした。結果稿はいずれもブログ右袖のカテゴリーからどうぞ。

たのしく、うつくしく。
難解? 複雑? そんなものとは無縁な「易しいからこそ楽しい」作品を紹介していく連載です。不定期更新。

解付き出題
自作を解付きで出していた企画で、現在#120をもって休止中。在庫整理の意味合いが強いので質より量です。

今週の詰将棋・
詰将棋ウィークリー

今週の詰将棋は2009年7月からの2年間100題。詰将棋ウィークリーは1012年3月からの50週は幻想咲花さんとのコラボ、それ以降は鈴川単独の出題で2014年3月まで、#100をもって終了しました。解答して頂いた方に感謝します。
※81puzzler閉鎖につき詰将棋ウィークリーの記事にはリンク切れが多いです。

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