駒の性能分析 歩兵
このシリーズも最終回です。なんと、前回「香車」の更新日時は去年の7月。さすがに間が開き過ぎですね。(笑)
さて今回は「歩兵」ですが、本題に入る前に……。この駒の読み方は、「ふひょう」ですよね? 普段は「ふ」とだけ言っているので忘れがちですが、将棋に熟練した方でもたまに「ほへい」と読んでいることがあり、ちょっと驚きます。
歩は、当然のことながら将棋で最も多い駒で、初期配置でも自陣の先頭にずらりと並んでいます。利きは1マスだけなので、地味な駒かとも思えますが、「一歩千金」「歩のない将棋は負け将棋」といった格言に表されているように、非常に重要な駒です。

これは、図面の掲載が必要ないほど有名な作品です。詰将棋関係者なら光よりも速く詰手順が並べられますが、知らない人なら香車を並べていき、一枚足りずに困る様子が目に浮かびます。
しかしそんな人でさえも、この詰将棋において手順のどこかで歩を動かすことは考えないのではないでしょうか。もちろん、歩を成ればどの局面においても同玉と取られ、上部脱出が避けられないという理由で、歩成の選択肢を除外しているからだという説明は付きます。しかし、それを考える前にどうも感覚的に歩を動かしたくないという気持ちが少なからず働いていると思います。
それは、「歩は上部を押さえる駒である」という印象があるからだと思います。これは指将棋において上部脱出をさせない、つまり将棋の初期配置の影響を受けているのです。もし、指将棋の並べ方を全く知らずにこの作品を解こうとしたら、歩成を選択肢に入れる可能性が高くなるかも知れません。
若干話がずれましたが、この歩の印象を利用して、詰将棋らしい表現をすることが可能です。例えば次の作品。

「実戦の詰将棋 初段120題」より
作意手順 31銀、23玉、24歩、同玉、25金、23玉、34馬迄7手。
自然な実戦形から、歩を突き出す意表の手。もちろんこれは初心者向けの詰将棋本からの引用ですから、詰キストには一目でしょうが、それでも実戦ではほとんど見ることができない手だと思います。
次の特徴へ話を移します。
詰将棋で歩が主役となる作品は、あまり見かけないのではないでしょうか。というのは、歩はやはり単体では動きに華がなく、詰将棋のテーマとしては不足であるからです。
そこで、複数の歩による舞い、「ダンスの歩」が登場するわけです。これはもともとは将棋用語ですが、既に詰将棋でもお馴染みと言っていいかと思います。
ダンスの歩は、詰将棋に細やかな捌きを求める際に最適です。一見単純な歩の動きも、数枚集まればまるでダンスしているかのように、華のある手筋に早変わりします。
自作から、歩による捌きの作を2つ紹介します。

詰パラ2012年2月号 大学
収束部だけ摘出
作意手順 13歩、21玉、22歩、同玉、23歩、21玉、12歩成、同玉、22歩成、同玉、33馬、12玉、34馬、21玉、22歩、同玉、23龍迄。
このシンプルな形から、歩4枚によるダンスが現れるのが売りです。

詰パラ2010年5月号 高等学校
作意手順 18歩、27玉、28歩、18玉、27歩、29玉、28飛、19玉、29飛、同玉、47馬、19玉、37馬、29玉、28馬迄15手。
これは邪魔駒消去が軸となる、ちょっと特殊なダンスの歩。
それでは、歩の特徴を最後にまとめておきましょう。
・歩は上部脱出を押さえるための駒であるという印象が強い。これを利用して盲点を突いた詰将棋を作ることも可能。
・詰将棋でのダンスの歩は、きめ細やかな印象を与える。
と、ここまで終えて疑問に思える方もいらっしゃるかと思うのですが、歩と言えば……そう、打歩詰打開・回避・誘致の手筋がありますよね!?
しかし、これらを数え上げているときりがないので、打歩詰に関する手筋は別の機会に、ということで。時期については未定です。(笑)
ここまで読んで頂きありがとうございました。
さて今回は「歩兵」ですが、本題に入る前に……。この駒の読み方は、「ふひょう」ですよね? 普段は「ふ」とだけ言っているので忘れがちですが、将棋に熟練した方でもたまに「ほへい」と読んでいることがあり、ちょっと驚きます。
歩は、当然のことながら将棋で最も多い駒で、初期配置でも自陣の先頭にずらりと並んでいます。利きは1マスだけなので、地味な駒かとも思えますが、「一歩千金」「歩のない将棋は負け将棋」といった格言に表されているように、非常に重要な駒です。

これは、図面の掲載が必要ないほど有名な作品です。詰将棋関係者なら光よりも速く詰手順が並べられますが、知らない人なら香車を並べていき、一枚足りずに困る様子が目に浮かびます。
しかしそんな人でさえも、この詰将棋において手順のどこかで歩を動かすことは考えないのではないでしょうか。もちろん、歩を成ればどの局面においても同玉と取られ、上部脱出が避けられないという理由で、歩成の選択肢を除外しているからだという説明は付きます。しかし、それを考える前にどうも感覚的に歩を動かしたくないという気持ちが少なからず働いていると思います。
それは、「歩は上部を押さえる駒である」という印象があるからだと思います。これは指将棋において上部脱出をさせない、つまり将棋の初期配置の影響を受けているのです。もし、指将棋の並べ方を全く知らずにこの作品を解こうとしたら、歩成を選択肢に入れる可能性が高くなるかも知れません。
若干話がずれましたが、この歩の印象を利用して、詰将棋らしい表現をすることが可能です。例えば次の作品。

「実戦の詰将棋 初段120題」より
作意手順 31銀、23玉、24歩、同玉、25金、23玉、34馬迄7手。
自然な実戦形から、歩を突き出す意表の手。もちろんこれは初心者向けの詰将棋本からの引用ですから、詰キストには一目でしょうが、それでも実戦ではほとんど見ることができない手だと思います。
次の特徴へ話を移します。
詰将棋で歩が主役となる作品は、あまり見かけないのではないでしょうか。というのは、歩はやはり単体では動きに華がなく、詰将棋のテーマとしては不足であるからです。
そこで、複数の歩による舞い、「ダンスの歩」が登場するわけです。これはもともとは将棋用語ですが、既に詰将棋でもお馴染みと言っていいかと思います。
ダンスの歩は、詰将棋に細やかな捌きを求める際に最適です。一見単純な歩の動きも、数枚集まればまるでダンスしているかのように、華のある手筋に早変わりします。
自作から、歩による捌きの作を2つ紹介します。

詰パラ2012年2月号 大学
収束部だけ摘出
作意手順 13歩、21玉、22歩、同玉、23歩、21玉、12歩成、同玉、22歩成、同玉、33馬、12玉、34馬、21玉、22歩、同玉、23龍迄。
このシンプルな形から、歩4枚によるダンスが現れるのが売りです。

詰パラ2010年5月号 高等学校
作意手順 18歩、27玉、28歩、18玉、27歩、29玉、28飛、19玉、29飛、同玉、47馬、19玉、37馬、29玉、28馬迄15手。
これは邪魔駒消去が軸となる、ちょっと特殊なダンスの歩。
それでは、歩の特徴を最後にまとめておきましょう。
・歩は上部脱出を押さえるための駒であるという印象が強い。これを利用して盲点を突いた詰将棋を作ることも可能。
・詰将棋でのダンスの歩は、きめ細やかな印象を与える。
と、ここまで終えて疑問に思える方もいらっしゃるかと思うのですが、歩と言えば……そう、打歩詰打開・回避・誘致の手筋がありますよね!?
しかし、これらを数え上げているときりがないので、打歩詰に関する手筋は別の機会に、ということで。時期については未定です。(笑)
ここまで読んで頂きありがとうございました。