詰将棋ウィークリー#62 解答

出題編はこちら
今回、三輪さんから頂いたヒントをもとに、改良図を得ることに成功しました。ちょっと記事が長くなります。






僕が本作を作る過程を辿りながら、詳しく見ていきたいと思います。

13-53-1.gif

24金、同玉、33馬、同龍、25金迄。今までに何度も作られてきた、手筋物の基本形と言えます。ここからどう逆算するかですが、まずはこの龍をもう少し動かしたいところでしょう。都合のいいことに、龍を36に置けば、45金、同龍、35金、同龍という連続捨駒が成立します。持駒も金4枚でいい感じです。
しかし、そのままではまだ物足りない。そこで、43の歩を動かすことを考えました。つまり、43○、同歩の逆算です。同歩のところ同玉なら44金から押していけば駒余りで割り切れています。
43に捨てる駒は何にしようか。持駒銀追加はさすがに余詰。そこで52馬に43金合を強要させ、同馬、同歩の逆算を考えました。

13-53-2.gif

問題は、うまく金合を引き出せるかどうか。しかし幸運なことに、これも割り切れていました。香合ならば45金という手があり、24玉には42馬!が成立。同龍には44金!以下、駒余りです。また43銀合も同様。駒追加なしでここまで逆算できたのだから、これで完成でいいか、ということで、出題しました。

しかし、実はこの状態だと評価を落とす要因がまだ残っています。それは、2手目香合や銀合であっても、同馬とすると、作意と同じ手順で詰んでしまうのです。つまり4手目の局面で、創作中は金4枚の持駒で考えていましたが、金3銀1や金3香1でも同様に詰みます。いわゆる変別で、予期せぬ誤解者を出してしまう可能性もあります。

これを作っていた時には、それほど重く考えてはいなかったのですが、今となれば、誤解の恐れがある変別はできる限り消すべきだと思っています。というのも、詰将棋においては「攻方は最短手数で詰ます」規約はありませんが、変化手順のなかではそれを順守しないと正解にたどり着けない場合があり、それは何だか理不尽な気がしてきたからです。

そんな中、本作の出題時に誤植が起きました。持駒を誤って金金銀としてしまったのです。幸い不詰ではありませんでしたが、初手45金や5手目45銀の余詰が発生していました。しかし実はこれが怪我の功名で、改良図につながったのです。

初形で持駒金金銀であっても、2手目43金合は成立し、4手目の局面では金3銀1になっていて詰みます。逆に、2手目香合や銀合だと同馬、同歩の局面は持駒金金銀香(銀)で、これは詰まないのです! つまり、初形で持駒が金金銀ならば、変別を防ぐことができ、45金~44金の筋でしか詰みません。

13-53-3.gif

あとは余詰を防ぐだけです。上図は4手目の局面で、ここから45金ではなく45銀の余詰があります。対して同龍なら35金以下作意に統合します。よって、24玉で逃れにする必要がありますね。それには次の46馬を防ぐために、ここに効きが必要です。玉方54桂くらいで充分でしょう。

13-53+.gif 改良図

54桂の位置がぴったりで、角を63に近付けて配置面積を小さくすることもできました。これで今回の改良図とします。繰り返しになりますが、2手目香合・銀合に対して同馬では詰まないことは、大きな向上だと思います。
改良にあたりアドバイス頂いた三輪さんに感謝します。

三輪勝昭 「僕は置駒を合駒を変換させる手順が嫌いである。何故ならば手順に美しさがないからである。しかし、詰パラでは解答者にも作者にも評価が高いので僕の詰将棋感がおかしいのだろうか? 変化を読ませたりとか配置面のメリットとかあり、創作技法として使い勝手が良いので自分も知らない間に使ってたりするけど。
この作品収束が見え駒が一枚不足なので74角を持駒に変換するのが見え見えで嫌悪感が満々でした。しかし、変化を読んでみるとこの部分が実に巧く出来ている。
(中略)
作意手順の見た目は平凡そのもので高校では弱いかと思うけど、内容は十分高校で通用する作品と思います。合駒ブン取り手順は嫌いだけど高価合を成立させている変化は見事です。僕は滅多に言わない言葉のサイトにはもったいないと言っておきます」

持駒金金銀に対するコメントでした。

それでは以下は他の方からのコメントです。(順不同、敬称略)

小野寺 「初手わかりづらいなあ~ヒントがかえって邪魔をした」

★ヒントというか、誤解防止のための但し書きのつもりでした。うーん逆に迷わせてしまいましたか。

さわやか風太郎 「3三馬、同竜、2五金までとあたりをつけて始めた。しかし3五玉から2六玉の逃走ルートがなかなか防げず。どうやら持ち駒を増やすしかないと思い5二角成に至る。ここで4三合駒に相当悩まされた。まるで箱根の関所だ。ここで金を入手して金の3連続捨て駒が素晴らしい。筋書通りの詰上がりで、ほっ♪」

★改良図ならば、合駒の割り切り方がより上品になりました。

蛇塚の坂本 「5二角成にどの駒を合駒にするか、悩んだ。金合で、4五3五2四2五の金4枚によるパズルの筋を選んだ」

★金を捨てていく順は、既成ながら面白いかと思います。


解答者:三輪勝昭、小野寺、さわやか風太郎、蛇塚の坂本

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

ついコメントしたくなるくらい、良い作品と思います。
三輪さんの言うとおり「合駒をパクって戦力にするだけの配置・手順」は僕も嫌いです。そういう点では改良図も余り変わっていないし、余り変わらないなら僕なら配置駒の少ない出題図を採りますが。
そこでこんな図を考えました。

攻方:27桂、32銀、64角、65馬
玉方:14と、33歩、42銀、44玉、46龍
持駒:金金金金

改良点として、初手の味、持駒趣向、紛れ増量などでしょうか。
図面は広がったし4段目のと金も気になるかもしれませんが、手順を考えれば僕は全く気になりません。
三輪さんの意見を聞きたいですが、もしお気に召していただければ記事に加えるなりでしていただければ嬉しいです。
この図で中学校に出したかった、というのが本音だったり…

実は、僕も創作している時は連続捨駒の収束にはやはり捨駒の序が似合うと思っていたのですが、残念ながら43角捨の逆算をするには余詰が強すぎて、諦めていました。取る駒を銀にすればいけるのですね。
後日、図化して新しい記事に上げたいと思います。

オリジナル性が一番問題

まず僕のコメントですが、持駒金金銀の出題の時のものでそれで完全作と思ってコメントしています。

持駒金三の場合43は何の合駒でも35に打って詰みます。
解答者は45金〜44金は読まなくても詰ませています。
正解を得るために読む必要がある手順ですが、詰みを読むのに必要なく正解を得るためだけに読むのが必要な図は可能なら避けるべきと僕は思っています。
よって出題図と改良図の二つを得ていたのならどちらが良いかではなく、僕なら出題図では作品としてあり得ない。

次に咲花案ですが、僕はこの作品は9手詰としてオリジナル性に疑問ありと思っています。
よって43角成捨てと43金合変化の比較は43金合の方が優れていると思います。
収束までオリジナル手順だとしたら別の評価になりますが。

オリジナル性に疑問がありは金四枚で思い出しました。

「あさぎり」第81番(近代将棋・昭25・8)湯村光造作。
持駒 金四
玉方 43歩、54玉、63歩、65龍、74歩
詰方 35角、36歩、62銀、66歩以上13手詰。

龍の位置と成駒変換が違いますが9手は同一と言えますね。

成駒変換が入り45金と55金の味は少し良くしています。
そして、手筋物そのものの嫌らしさを緩和しています。

本当は、もっと逆算できて中編くらいになるはずだったのですが……。類作あってもおかしくありませんね。
カレンダー(月別)
08 ≪│2017/09│≫ 10
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
FC2カウンター
About
my cubeへようこそ。詰将棋のブログです。駒を並べてアートが表現できるって素敵なことじゃありませんか? 詰キストの方もビギナーの方も楽しんでいってください。

管理者:鈴川優希
月刊誌「詰将棋パラダイス」を活動拠点とする詰将棋作家。石川県のド田舎育ちですが、大学進学とともに東京へ。詰工房などの会合に顔を出したり、解答選手権などのイベントを運営したりしてます。詰将棋は小学生の時から作り始め、2009年5月に詰パラ初入選。2015年12月に最年少同人入り(入選100回達成)。半期賞受賞6回。2016年4月より詰パラ連載「ちえのわ雑文集」の世話役に就任。現在、第一作品集を執筆中。出版は今夏を予定していましたが果たして……。

第n回裏短編コンクール
2015年11月に開催した企画で、7手詰を募集して17作を出題しました。45名もの方に解答していただき感謝です。順位発表はニコ生で放送するという新しい試み。

第φ回裏短編コンクール
2016年、裏短コン2回目の開催。9手詰25作出題の大盛況でした。結果稿はいずれもブログ右袖のカテゴリーからどうぞ。

たのしく、うつくしく。
難解? 複雑? そんなものとは無縁な「易しいからこそ楽しい」作品を紹介していく連載です。不定期更新。

解付き出題
自作を解付きで出していた企画で、現在#120をもって休止中。在庫整理の意味合いが強いので質より量です。

今週の詰将棋・
詰将棋ウィークリー

今週の詰将棋は2009年7月からの2年間100題。詰将棋ウィークリーは1012年3月からの50週は幻想咲花さんとのコラボ、それ以降は鈴川単独の出題で2014年3月まで、#100をもって終了しました。解答して頂いた方に感謝します。
※81puzzler閉鎖につき詰将棋ウィークリーの記事にはリンク切れが多いです。

このブログはリンクフリーです。Sine 2009.6.
メールアドレス
makugaeru●yahoo.co.jp
●を@に替えてください。
全記事数表示
全タイトルを表示
最新記事
最新コメント
カテゴリ
検索フォーム
リンク
詰将棋あるあるbot