詰パラ 入選57回 短期大学

詰将棋パラダイス2014年2月号
短期大学 第2番



誤解20 無解5
A19 B10 C0
平均2.65



結果稿では紙面のスペース上、解説が不充分になっている。
コテコテな構想作だけに、その理論が分からないと手順を見ても面白くないと思う。
では解説に入る。

19-3.gif初形図

まず初手は37香と打ってみたいところだろう。逃げたら29飛の1手詰なので、中合読みが始まる。
35香合は32と、24玉、29飛迄。35桂合または角合なら32と、24玉、36桂迄だ。この桂打を防ぐために、玉方は36にも中合が必要となる。
よって36桂合を考えるが、同香、35角合、32と、24玉、29飛、26歩合、同飛、同角、16桂、同歩、25歩、15玉、27桂迄で詰む(変化Aとする)。この変化が本作の根幹を担う。
従って、初手37香には、36角合、同香、35角合が最善の受けとなるのである(1図)。いきなりの角2連中合はインパクトがある筈。しかしこれは序奏にすぎない。

19-3sankou6.gif1図

ここで変化Aと同じように32とと指してみる。以下24玉、29飛、26歩合、同飛、同角、57角で2図。

19-3sankou1.gif2図

ここで玉方が46桂合なら、同角、同香、16桂以下詰む。しかし35桂合とされてみると、同角、同角で26に穴が開き、16桂、同歩、25歩、15玉、27桂、26玉で逃れる。
つまり玉方の角先角桂に対して、攻方は角を桂に不利交換して変化Aに合流したいのだが、そのままではうまくいかない。
そこで2図で注目するのは、35桂合とした瞬間に、先手の香の利きが止まるということだ。もし32とが42にあれば、35桂合にはすぐさま25歩と打つことができ、簡単に詰む。

従って、5手目は66角!(3図)と打ち、24玉、29飛、26歩合、同飛、同角に57角と引く順が生じるのだ。これなら33地点への利きがなくなるので、玉方は46桂合しかなく、不利交換が成立する。

19-3sankou2.gif3図

普通に迫ると攻方駒の利きが残って打歩詰だが、あえて持駒を打ってそれを退避することによって、利きを外すということである。目新しい手筋だと思う。
この部分の構想だけを抽出してシンプルにまとめると、4図のようになる。

7-53.gif4図

初手34金は14玉で打歩詰。
従って初手は重く34角と打ち、14玉に25角と引けば打歩詰が打開できる。以下同桂、15歩、23玉、34金迄。
この構想を合駒の変化に絡ませたのが、本作というわけだ。

19-3sankou2.gif3図再掲

しかし読まなければいけないのは、3図で24玉ではなく合駒をされる変化だ。
まず44桂合は、32と、24玉、29飛、26歩合、同飛、同角、57角で桂が売り切れ。あらかじめ角を近付ける55歩合という受けには、同角、24玉、74飛、44香合、25歩、33玉、32とで詰む。
玉方、万策尽きたように思えるが、3図では44香打合が最善の応手となる。対して32とではやはり打歩詰に陥り、44同角も詰まない。よって、44同銀成として、42玉、32銀成、52玉(同玉は35香以下)、54香、63玉、53香成、64玉、54成香と追っていくが、65玉(5図)、55成香、66玉で逃げられる。

19-3sankou3.gif5図

この局面を見れば、すぐに答えが閃くだろう。角が88にあれば、55成香迄で詰んでいるのだ。従って、5手目は88角!(6図)が正解だ。

19-3sankou4.gif6図

対して44桂合または55歩合なら、66角の時の変化と同様に詰む。
66歩合や77歩合などの中合もあるが、同角、44香打合に同銀成ではなく同角と取れば、持駒に歩が追加されているため簡単だ。よって、玉方は24玉と逃げるしかなく、29飛~79角と引いて、不利交換が達成でき、変化Aに統合して詰むというわけだ。(詰上図)

19-3sankou5.gif詰上図

最後に作意手順をまとめておく。
37香、36角合、同香、35角合、88角、24玉、29飛、26歩合、同飛、同角、79角、46桂合、同角、同香、16桂、同歩、25歩、15玉、27桂 迄19手。

四銀配置や捌けない収束は冴えないが、19手という範囲の中に、たくさんのことを詰め込むことができた。
評点が全く伸びなかったのは不思議だが、気にすることではない。
鈴川の構想作は最初で最後かも知れない。

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No title

個人的には首位作でした。

No title

無理作りが嫌われたのでしょうかね。構想作なら評点も上がるかと思ったのですが。

No title

全く無理作りには見えず、むしろ出来すぎているくらい。
構想も(棋友が同意してくれなかったので、個人的には)目新しいと思いましたし、何よりその表現が素晴らしい。

合駒読みの段階で32とを散々見せ付けておいて、しかも66角ではなく88角の限定打で実現したのは非常にインパクトがあります。
これがやりたかったのだ!というのがきっちり伝わる構成になっていて、評点は少し伸び悩んだ感じもしましたが、傑作と胸をはっていいのではないかと思います。

ただ作品には全く文句がありませんが、ブログの解説にはちょっと言いたいことがあったり。

それは、序の角角合を不利合(角先角桂)とは言いにくいだろうということです。不利合は基本的には同じ地点に利く意味を持つ上で、さらに一方だけが他の一見有利な地点にも利きを持つ場合に主張できるものだと思います。従って、その後の応酬も不利交換とは言いにくい。

また、蛇足ながら4図についてですが、構想を明確にするなら45金(と)が勝ると思います。
34角は構想上、14玉となった局面で25角と23への利きを消せるようにするという意味の手でなければなりませんが、45銀型では34銀としても25銀として23への利きを消せます。
結局この図で主張されるのは、15歩に23玉と戻った局面で34銀と34角でどちらが有利かということになってしまい、構想の表現としてまずいのではないかというわけです。

以上、気になったので勝手に言わせていただきました。
駄文陳謝。

No title

ありがとうございます。
結果稿では、2手目の変化が解説されていなかったのがちょっとだけ不満でした。他の合駒なら全て32となのに、角角合の時だけ88角が飛び出すという狙いで、ikz26さんにはしっかりと汲んでもらいました。

角先角桂や不利交換という表現については、ツウな詰キストから反論が出るに違いないと予想していました。ただ僕にとってのA先ABというものは、ikz26さんの主張に加えて、「解答者は直感的にはBを先に読むだろうが、実はA」という非常に曖昧な定義をしています。あと実際に解説を書く場合は一言で伝わりやすいかなと。

4図ですが、その通りでした。なんとなく金にすると余詰があると勘違いしていました。早速修正します。
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管理者:鈴川優希
月刊誌「詰将棋パラダイス」を活動拠点とする詰将棋作家。石川県のド田舎育ちですが、進学とともに東京へ。現在、20歳学生。詰工房などの会合へしばしば顔を出します。詰将棋は小学生の時から作り始め、2009年5月に詰パラ初入選。2015年12月に最年少同人入り(入選100回達成)。半期賞受賞6回。2016年4月より詰パラ連載「ちえのわ雑文集」の世話役に就任。現在、第一作品集を執筆中。出版は今夏を予定していましたが果たして……。

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今週の詰将棋は2009年7月からの2年間100題。詰将棋ウィークリーは1012年3月からの50週は幻想咲花さんとのコラボ、それ以降は鈴川単独の出題で2014年3月まで、#100をもって終了しました。解答して頂いた方に感謝します。

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