たのしく、うつくしく。好作紹介 #3

好作紹介の3回目です。今回は双玉モノを。



初手84角は82玉、93角成、91玉、92馬、同玉、84王、82玉、93飛成、71玉で届きません。82に逃げられないようにすることを考えると、初手は91角に決定でしょう。
ふつうの合駒では75飛の1手詰。そうですね、桂合の逆王手が飛んできます。同角成、同玉。
ここで85飛は71玉、83桂、82玉くらいで詰まないので、もうほとんど一直線ですね。74桂、73玉、62龍、74玉。ちなみに74桂に91玉は83王の1手詰が待っています。
ここでも紛れはありません。65銀、同角成、同龍、73玉までスムーズに進みます。
さてこの局面に注目。初形と比べてみてください。攻方64銀と玉方87角が消えただけです!
これがどういう効果をもたらすかというと、もう一度逆王手を含んだこの手順を繰り返して玉が74に出てきた時、65への角の利きが消えているので、75飛と捨てる手が生じているんですね。同玉、65龍迄。実にきれいに決まりました。最後に大駒捨てをもってくる構成が良いです。
結局、角のミニハガシ、と呼びたくなるような作品でした。

本局で僕が目に止まったのは、双玉の使い方が上手いということ。手順中の桂合は、双玉を使わなくても消極的意味付けを与えれば実現は難しくないように見えます。ここでいう消極的とは、取られた時に攻方にとって都合の悪い駒を与えるという意味です。例えば香合だったら、同角成、同玉、84香以下詰むようにする、とか。
しかし本作は双玉を導入することによって、シンプルに桂合に限定しているわけですね。だって桂合以外は1手詰というのがすぐに見えますから。あえて変化を削ることによって、解答者にそれを読ませる手間を省かせているのです。ふつうは作品のボリュームを増す方向で作るものですが、このように楽しい手順を狙いとしている場合は、次の手をリズムよく読ませることが重要だと思います。
あと紛れも減っていますね。玉に玉をぶつける手はありえませんから。これも解答者にリズムを意識させる点で効果的です。
「易しく、楽しい」とは違って「易しいからこそ楽しい」という、僕の大好きなフレーズが効いてきました。

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my cubeへようこそ。詰将棋のブログです。駒を並べてアートが表現できるって素敵なことじゃありませんか? 詰キストの方もビギナーの方も楽しんでいってください。

管理者:鈴川優希
月刊誌「詰将棋パラダイス」を活動拠点とする詰将棋作家。石川県のド田舎育ちですが、大学進学とともに東京へ。詰工房などの会合に顔を出したり、解答選手権などのイベントを運営したりしてます。詰将棋は小学生の時から作り始め、2009年5月に詰パラ初入選。2015年12月に最年少同人入り(入選100回達成)。半期賞受賞6回。2016年4月より詰パラ連載「ちえのわ雑文集」の世話役に就任。現在、第一作品集を執筆中。出版は今夏を予定していましたが果たして……。

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難解? 複雑? そんなものとは無縁な「易しいからこそ楽しい」作品を紹介していく連載です。不定期更新。

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今週の詰将棋は2009年7月からの2年間100題。詰将棋ウィークリーは1012年3月からの50週は幻想咲花さんとのコラボ、それ以降は鈴川単独の出題で2014年3月まで、#100をもって終了しました。解答して頂いた方に感謝します。
※81puzzler閉鎖につき詰将棋ウィークリーの記事にはリンク切れが多いです。

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