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たのしく、うつくしく。好作紹介 #10

この連載を楽しみにしてくださる方がいるということなので、作品を見つけては更新していきます。
今回は、えび研で話題になった作品。



作者の小林尚樹さんは今月の詰パラに載っている方。最近になってTwitterを始められました。
ご本人のツイートによるとこの作品の発表が16年前で、その前の入選はなんと31年前。「急ぎすぎずのんびりとやりませんか」とのこと。

早速作品の鑑賞に入りましょう。
まずタイトルが付いていて、「1月1日」。そのココロはと言いますと、初形が1/1になっている……からだそうです。発表は1月なので、年賀詰になっているということでしょうね。
ただ、言われないと分からないので曲詰を主張する作品ではないことは明らか。では、手順は?

上部脱出を防ぐには83銀~角打しかありませんが、ここは短打の72角。92玉には94香、93合、81角成を見せているわけです。よって玉方は82に逃げます。
そこで妙手93銀が飛び出します。71玉に83桂の余地を作っているわけですが、やはり焦点に捨てる感覚は良いものです。
同銀で上部が塞がったら手は限られてきて、83香~84桂~94香しかありません。ここで当然ですが移動合で84を開けるのが好手(他合は81角成~72角で簡単)。
いよいよ終幕が見えてきました。83香を成り捨てて84に打ち替え、そして今度は72角を捨てて61に打ち替えるのです。香も角も、いったんは自分で短く打ったのに、それを成り捨てて一間離しに打ち替えているのが巧妙。
終わってみれば、玉方の銀が84と93を二往復。それ以外の駒は元通りで初形に94香と72馬が加わっただけ、という、実に味の良い対比が現れます。

ここまで簡素な形から、易しく、そしてストーリー性のある手順を紡ぎだす作品。なかなかお目にかかれるものではありません。今の大学担当者のお気に入りだという話も聞きました。

えび研で話題になったのはなぜかと言いますと、迷宮の王にお言葉ですがと同じ議論で、1月1日に初手は必要か、ということ。
初手を省くと、72角短打から入って、収束は94香が忽然と現れた形になるので、今度は61角と打つ、その対比が強調されるという意見です。
僕の考えですと、初手の銀捨は入れるべきかな、と。理由はいろいろあって、玉形が安定すること、初手83銀と5手目93銀の違いが見られること、などなど。
また本作の場合、94香を出現させようという狙いのもとに攻方が手段を尽くしているというよりも、易しい流れの中で行き着いたところが94香の出現、という因果関係のほうがふさわしいように感じられます。
結局は好みの問題、と言ってしまえば議論が終わってしまうのですかね。

追記:コメントにて、「1月1日」はタイトルではなく、結果稿の解説で作者コメントとして触れられただけと指摘頂きました。訂正いたします。
タイトルを付けるかどうかも好みの問題ですが、こうして引用される場合に便利だということは明らかでしょうね。

コメントの投稿

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No title

これ、めちゃくちゃいい作品ですね。
えび研に遅れて参加したせいで見そびれました。

初手を省くという意見には驚きです。
なるほど16手かけて94香を発生させるテーマと見るわけですね。

しかしこの初手は入れるでしょう。
なんでと言われても好みの問題なんですけど(笑)

No title

私も入れます。
初形の安定度が違うので。

No title

私も出遅れ組だったので、本作は見てません。
初手は当然入れますね。
16手かけて94香を発生させる理屈は、初手と16手目でなくても
良いわけですから。
Y氏が拙作に言及していた理由がようやくわかりました。

No title

取り上げてくださりありがとうございます。
またコメントもありがとうございます。

当時A39B20の評点でしたので、ここまで話題にしてくださるとは思っておりませんでした。

タイトルに関しては、投稿用紙のアピールポイントに書いた覚えはありますが、作品タイトルにはしてなかったと思います。
おっしゃる通り、当時のコメントで曲詰を指摘された方はお一人?だったような気が・・・

確か石黒様の解説で「1/1」だと紹介してくださったと思います。
ツイートでも書きましたが、今の私なら小恥ずかしくて「1/1」とは主張しません(笑)

初手に関しては、要らないと言われているのがYさんですので、迷っているところなのです。
おっしゃられている意味も理解できますので・・・
一方で皆様がおっしゃられている意味も理解しています。

No title

何だか書いてる事が矛盾してますね(笑)

小林様へ

初手不要派は私だけですから(笑)気になさらないでください。
94香が出現した形での最終3手に惚れ込んでしまったせいもあり、それを強くイメージできる初形にしたい、と思ったわけです。
作品を愛するがゆえの余計な口出し、お許しくださいませ。
埋もれた名作がこのように紹介されるのはうれしいですね。

No title

タイトルではありませんでしたか、失礼しました。修正しておきます。
ともかくこういう作品を多くの人に広めることが目的なので、それは充分に達成できましたね。

原形発生

初形の玉の安定を気にする人はいるのですね。
全く無意味な事だと思いますがね。
と言う事で僕は非常に初形の玉の安定位置を気にします(笑)。何でなんでしょうね。
それと僕は初形で玉にここに逃げられてはダメだとなる手があり、それを阻止する手が唯一な初形にはしないようにします。
絶対手になるからですが、初手絶対手になるのは全く構わない。
むしろ、初手が主眼手になるのを避けるために、あえて凡手から始めたたりします。
逃げられてはアウトの時、それを阻止する手は道中なら切れのある手になったりしますが、初手ではただの絶対手にしかならないからです。
余程テーマを阻害しない限りは逆算するべきと考えています。
この作品なら83玉型なら初手は唯一ではないですが、72か61に角を打つしかないので83玉から始めるのは避けたいです。

この作品は94香発生がテーマなら、初形で比較しないと意味ないと思います。
角さんの道中と〇手でも良いと言う考えには反対です。
この作品で言えば、それは1つのテーマではあるが、それまでに至る手順のやり取りの面白さが作者の狙いに感じるので、初形じゃなくても伝わるかなと思います。

それと原形発生をテーマにするなら持駒が減っているのはつまらないかなと思います。
持駒を減らしてまで発生させてるとも言えなくないですが、94香は強力な駒なんで、持駒を減らす不利感はないです。
持駒を減らさず、或いはその発生駒以外は減らさずに発生させる事が出来たなら、詰方の一手得になりますよね。
玉方にとっては騙されたような手順で、それなら初形と対比するべきだと思います。

☆結論として、柳原さんの考えには全面的に賛成だけど、この作品はそれに当たらないと言うのが僕の意見です。

No title

玉の位置を気にするのは、詰将棋は美しさを究めるものだと考えれば当たり前なのかも知れません。
初手は凡手から始めるというのも、静かに始まってダイナミックに終わる起承転結型の作品には必須でしょうね。
三輪さんと僕は、モデルメイトへのこだわりなども含めて詰将棋観がよく似ている気がします。

No title

柳原様へ
いいえ、いろいろな見方があると勉強できたと同時に、そこまでおっしゃってくださることに大変感謝しております。
ありがとうございます。

三輪様へ
ようやくお話の全容が理解できました(笑)
とても遅くてすみません。
今までほとんど群れてなかった(笑)私には、いろんなご意見ご見識が勉強になります。
ありがとうございます。

No title

群れるネタがこっちのブログにも。

No title

ちょうど時事ネタでしたので(笑)
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my cubeへようこそ。詰将棋のブログです。駒を並べてアートが表現できるって素敵なことじゃありませんか? 詰キストの方もビギナーの方も楽しんでいってください。

管理者:鈴川優希
月刊誌「詰将棋パラダイス」を活動拠点とする詰将棋作家。石川県のド田舎育ちですが、大学進学とともに東京へ。詰工房などの会合に顔を出したり、解答選手権などのイベントを運営したりしてます。詰将棋は小学生の時から作り始め、2009年5月に詰パラ初入選。2015年12月に最年少同人入り(入選100回達成)。半期賞受賞6回。2016年4月より詰パラ連載「ちえのわ雑文集」の世話役に就任。現在、第一作品集を執筆中。出版は今夏を予定していましたが果たして……。

第n回裏短編コンクール
2015年11月に開催した企画で、7手詰を募集して17作を出題しました。45名もの方に解答していただき感謝です。順位発表はニコ生で放送するという新しい試み。

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2016年、裏短コン2回目の開催。9手詰25作出題の大盛況でした。結果稿はいずれもブログ右袖のカテゴリーからどうぞ。

たのしく、うつくしく。
難解? 複雑? そんなものとは無縁な「易しいからこそ楽しい」作品を紹介していく連載です。不定期更新。

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自作を解付きで出していた企画で、現在#120をもって休止中。在庫整理の意味合いが強いので質より量です。

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今週の詰将棋は2009年7月からの2年間100題。詰将棋ウィークリーは1012年3月からの50週は幻想咲花さんとのコラボ、それ以降は鈴川単独の出題で2014年3月まで、#100をもって終了しました。解答して頂いた方に感謝します。
※81puzzler閉鎖につき詰将棋ウィークリーの記事にはリンク切れが多いです。

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