古時計をもうちょっと

このブログで書いたそれでも古時計は動いているの記事に対して、まつきちさんからメールで長いコメントを頂きました。
せっかくですので紹介いたします。



今回の田島さんの作品については十分理解できていないのでコメントは控えます。
また規約に関する議論も避けたいと思いますが、当時のことを少し思い出したのでコメントさせていただきます。

「古時計」。発表は1989年ですか。変長の指摘があったこと、2001年の安江さんの論文とそれに続く誌上のやりとりがあったこと、記憶にあります。
当時感じたのは、「これは変長じゃないの」ということです。
紹介されたご意見のなかでは大和敏雄さんのものが、私の感覚をもっとも代弁してくれているものだったと思います。
また川崎さんのご意見もごもっともで、作者の説明も安江さんのご意も、正直なところ、随分無理のある解釈だなと思いました。
今振り返っても、仮に理論的に突き詰めればその通りであったとしても、当時はそれをにわかに受け入れがたい、そういう考え方だったのではではないかと思います。
馬ノコや龍ノコと同じと言われても、大きな違和感を覚えます。
新しい概念が普遍的なものになるのは時間がかかりますから、当時の状況はやむを得ないものだったようにも思えます。

古い話で恐縮ですが、私がパラを読み始めた当時(1971年)は変長も4手長まで許容範囲という時代でしたが、今では4手長どころか2手長も許されません。変化同手数も大きな減価事項となりました。
時代とともに感覚が変わってきた一つのサンプルのように思います。
作品にキズがあったとき、どこまでが許容範囲かというのは時代によって変わると思います。その時点で白黒つけるのはなかなか難しい。しかし時代が変わればモノの見方も変わってくる、そういうことはたくさんあると思います。
そういう意味で今回の鈴川さんの記事は大変有意義だったのではないかと思います。

ここまで書いてきて、次のような視点が当時あったのかどうか、ちょっと気になりました。
王手の千日手や二歩は禁手ですが、無駄合は「禁手」ではありません。
無駄な合をする方に逃げてはいけないのではなく、駒の余らないように(無駄合をせず)逃げてください、という解答者へのお願いなのではないのか。

それから解答欄魔さんの意見にもありましたが、ルールが流動的な場合(普遍的な市民権を得ていない、というような意味ですが)は、「この作品はこういう前提でつくられています」という宣言をして発表するのはアリかもしれません。
ただし評価の土俵が異なるということが前提になってきますが。
復元型の合駒をすれば詰ます作品が発表されていますので…。

何か当たり障りのないことを総花的に書いているだけのような気がしてきました…。

なお、加藤さんの「おもちゃ箱」に復元型の無駄合についての問題提起があります。
その方面に興味のある方は一読されてはいかがでしょうか。

私が川崎さんの考え方の中で好きなのは「ともすれば詰棋人は白黒つけたくなる傾向があるが、共通認識のようなものを大切にしてはどうか」というところです。
(私が少々勝手に解釈しているのかもしれませんが)
作者にも解答者にも、その人の価値観があります。それは定量的なものではなく、主観であるからこそ、共通の物差しで測りがたいものでもあります。
多様な価値観が共存するからこそ「パラダイス」だと言えるように思います。
四角四面な規約論議は閉塞感こそ生まれても、自由闊達な詰将棋の発達にはつながらないのではないかと、そう感じます。



おもちゃ箱での原型復帰型無駄合に関する問題提起は「復元型の無駄合」が詳しいです。
この前の記事でリンクを貼っておけばよかったですね。

また、前記事で触れためいとの川崎さんの論考も、まつきちさんに送って頂きました。
本当に感謝です。
著作権的にここでそのまま公開するわけにはいきませんので、また機を見て紹介できればと思います。

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No title

ルールの議論になると、自説ばかりを主張して、他人の意見は全く聞く気がない、そういう方が多すぎて、昔から辟易していました。
私は一人一人の好みが違うのと同様に、変長、変同などのルールの線引きも百人百様でいいと思っています。

本作の場合は、「呼び戻しの無駄合を前提としている」という事実は変わらないわけで、それを各人がどう思うかというだけではないでしょうか。
理屈をつけて、完全か不完全かのどちらかに決定するのは無理がありすぎで、それは後世の人がすることだろうと思います。
作者の努力には敬意を払いますが、この作者なら無駄合なしでトライしてもらいたい、というのが本音です。

No title

この前の401手詰は至る所に原型復帰型の合駒が出現するので修正は不可能でしょうが、古時計は一箇所だけ……。確かにこの作者なら修正もありえそうですよね。

「完全か不完全かのどちらかに決定するのは無理がありすぎで、それは後世の人がすること」
しかし、古時計の発表は30年以上も前で、解図ソフト全盛の時代となった今、必要性に迫られてルールを決定しなければいけない時が来ているのかもしれない、という認識はあるほうがいいと思います。
「後世の人」が、もう今になっているのかも。
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管理者:鈴川優希
月刊誌「詰将棋パラダイス」を活動拠点とする詰将棋作家。石川県のド田舎育ちですが、進学とともに東京へ。現在、20歳学生。詰工房などの会合へしばしば顔を出します。詰将棋は小学生の時から作り始め、2009年5月に詰パラ初入選。2015年12月に最年少同人入り(入選100回達成)。半期賞受賞6回。2016年4月より詰パラ連載「ちえのわ雑文集」の世話役に就任。現在、第一作品集を執筆中。出版は今夏を予定していましたが果たして……。

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