禁じられた遊び手筋まとめ その1

ちょっと前に田島秀男「古時計」の完全性についての記事を書きましたが、その頃の詰パラをめくっていると、もう一つおもしろい論考が目に止まりました。
阿部健治氏による、『「八段目桂合禁止」利用作品の系譜』というものです。
当時高校を担当されていた阿部氏が、解説した作品の中にその原理を利用した作品があったため、自ら前例を一挙にまとめた、という論考で、全5回、1年以上に渡って連載されたものです。
この記事は、そこで紹介された作品に最近の作品を加え、フラ盤で再生できるようにして、かつ、発表年順に並べたものとなっています。


【1】
禁じられた遊び
山田修司
近代将棋1972年3月



言わずと知れた一号局にして名作。しかし恥ずかしながら、僕もちゃんと鑑賞するのははじめてです 笑。だってネット上にどこにも載ってないんですもん。(と、思ったらしっかり載っていました→詰将棋の欠片)(この詰2010にも載っています)
巨椋鴻之介氏の同名の作品集とは直接の関係はないと思いますので、混同しないように。
16手目の局面から桂2枚を投資し8手かけて龍の位置を68に変えておくのが主眼。これで38手目に桂合されることを防いでいます。
なお36手目作意は同となのですが、24桂合とされると変同なのがちょっと気持ち悪いかも。


【2】
上田吉一
詰パラ1972年5月



こちらも言わずと知れた看寿賞作。
6手目に焦点合が出るのですが、それを桂合にされてしまうと詰まないので、焦点を8段目にもってくるための遠角2発、という構想。
遠打モノは中合の変化処理に神経を使うのですが、2手目、4手目には桂合が売り切れで、84の桂を拾って6手目には桂合が可能になるように作ってあるのが大事なところです。
「禁じられた遊び」より2か月後の発表ですが、投稿から採用までの時間差を含めれば独自の構想であると言えそうです。最初からこの手筋を遠角と組み合わせて表現してしまうのは、さすが上田吉一といったところ。


【3】
桑原幹男
詰パラ1980年5月



8年の月日が流れ、【2】上田作の飛バージョンが誕生。
今回は桂の品切れを使っておらず、2、4手目で桂合をすると49飛のところ55桂があって早詰という割り切り方が巧い。
角2枚を成り捨てて調子のいい収束ですが、最後だけちょっと乱れるのが現代的視点で言えば残念かも。


【4】
森長宏明
将棋マガジン1983年12月



簡素にして決定版。
25龍では55合で9筋に回れない。58龍では55桂合で作意通りに進んで94桂となりやはり最後9筋に回れない。よって89龍が、焦点を8段目にもってきて歩合を強要する唯一の移動場所というわけ。
たったこれだけの配置でこんな構想が実現できることにただただ驚きです。


【5】
森長宏明
詰棋めいと1985年2月



再び森長氏。この後にも何回かご登場予定です。
今度は山本民雄「嗚呼、君知るや9九飛」のオマージュ。5手目78飛とすると、37玉、87飛、77桂合、同飛寄以下持駒が桂なので逃れです。これも焦点を8段目にもってくる手筋と解釈できそう。
玉方金が序と収束に2回ずつ動くのがアクセントでしょう。


とりあえず今回はここまで。→その2

なお、最近の禁じられた遊び手筋の作例がよくわかっていないのですが、いずれ取り上げたいので2001年以降でご存知の方、教えて頂けたらありがたいです。第6回解答選手権若島作と中学半期賞宮原作は紹介する予定ですが……。


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No title

1番の24桂合は、触らずに作意です。
まあ、変同ではありますが。

No title

なるほど、放置すればいいという単純なことに気付いていませんでした……(´・ω・`)
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月刊誌「詰将棋パラダイス」を活動拠点とする詰将棋作家。石川県のド田舎育ちですが、大学進学とともに東京へ。詰工房などの会合に顔を出したり、解答選手権などのイベントを運営したりしてます。詰将棋は小学生の時から作り始め、2009年5月に詰パラ初入選。2015年12月に最年少同人入り(入選100回達成)。半期賞受賞6回。2016年4月より詰パラ連載「ちえのわ雑文集」の世話役に就任。現在、第一作品集を執筆中。出版は今夏を予定していましたが果たして……。

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