禁じられた遊び手筋まとめ その4

お待たせしました。その3の続きです。
皆さんのコメントによる指摘と、独自調査によるリストなので、時系列は前後してしまいます……ご了承ください。


【17】
エマージェンシー
F-86F
近代将棋1981年6月
添川公司氏による修正図



般若一族の作品。作者名F-86Fは黒田紀章氏のことです。
禁じられた遊び手筋の利用方法としては、例のごとく焦点を8段目にもってくるもの。75飛~54飛は45飛に44桂合で逃れるため、79飛~58飛とすれば焦点に桂合ができなくなります。

この作品の発表年が不運なことに、同構想の【3】桑原作の翌年となってしまいました。違いを指摘すれば、こちらは57桂合といったん中合することで焦点を47に変え、なにがなんでも歩を渡さないように受けていることです。これをすると、56桂合や55桂合、さらに2手目の桂合など、さまざまな変化に折り合いを付けなければならず、収束にしわ寄せがきたり、必要以上に難解になったりしてしまいます。いっぽう【3】は、早い段階で桂合をしたら55桂ですぐに詰んでしまうところが、繰り返しになりますがやはり巧いと思います。

詳しい解説や原図(余詰)は『般若一族 全作品』をご覧ください。


【18】
半小黒
『般若一族 全作品』2014年7月



これまた般若一族の黒田氏。
発表を2014年7月と書きましたが、実際は【17】と同じ1981年に、詰パラ5月号に発表された「衛星の棲」という作品があり、ここに引用したのはその原図。
「衛星の棲」は禁じられた遊び手筋が紛れに組み込まれたもので、作意にはいっさい現れないため、『般若一族 全作品』に掲載された原理図のほうで紹介するほうが、ここでの趣旨にそぐうと思ったわけです。

7手目37飛は22玉として、14銀に27桂合で同香、12玉、23銀成、11玉に17飛が回れずアウト。かといって14銀のところ34銀と開王手するのは24香合、同香、13玉、23香成、14玉、18飛、15合★で逃れ。
そこで38飛として28桂合を禁手にしてやりましょう。
【17】エマージェンシーと同じように、飛を近づけてなにがなんでも焦点に桂合をしてやろうという受けが、34桂合~24桂合となります。収束までスマートに捌いて、完成品かと思います。
ところで、8手目37桂合ではなぜだめか。それは同飛、22玉に34銀と開いて、上記変化★のところで桂を持っているので26桂迄です。
つまり、飛を近づけておくのが37~35は早詰で34ならいい理由は、34銀を防ぐためなんですね。
【17】ではやたら複雑になってしまっていた中合位置が、こちらではなんとも巧く限定されているではないですか。


【19】
原田清美
詰パラ2008年12月



時代はいきなり平成で、中合芸人の原田さん。
これは焦点というより、銀を壁にして3筋に飛を回れなくするための中合を桂合禁止にする構想。銀ソッポというのが巧いし、ならばと玉方は14桂合で3筋に回れなくする駆け引き。最後には24歩を吊り上げて結局回れます。
系譜を見ても前例らしいものがなく、斬新です。
短コンで上位入賞。


【20】
柳田明
詰パラ2011年6月



全詰連会長の順位戦作。
4手目、すぐに46飛だと45馬、26玉、59角で48桂合ができません。そこであらかじめ57桂合として近づけておく手筋。それでも結局48角と捨て、以下最短のまとめ。
(広義)高木手筋との組み合わせは【15】に続いて2局目ですが、作者のセンスが出るものです。


以上で、禁じられた遊び手筋の前例はほぼ出尽くしたのではないでしょうか。
この記事に触発されて新しい作品が生まれたら嬉しいのですが。

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忘れてました

なんとラストに出てきて驚きました。
そういえば「禁じられ手筋」でしたか、これも。
(自分で忘れてど~する)
しかし広義の高木手筋になるとは知らなんだ…。

No title

たぶんこの意味で「(広義)高木手筋」という言葉を用いている人はほぼいないかと思います。
噛み砕いて言えば「2つのラインのうち先に合駒」手筋で、系統的にまとめたいと思ったので……。

それはともかく、作品としては飛の移動合が入って巧い流れになっているかと。
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月刊誌「詰将棋パラダイス」を活動拠点とする詰将棋作家。石川県のド田舎育ちですが、大学進学とともに東京へ。詰工房などの会合に顔を出したり、解答選手権などのイベントを運営したりしてます。詰将棋は小学生の時から作り始め、2009年5月に詰パラ初入選。2015年12月に最年少同人入り(入選100回達成)。半期賞受賞6回。2016年4月より詰パラ連載「ちえのわ雑文集」の世話役に就任。現在、第一作品集を執筆中。出版は今夏を予定していましたが果たして……。

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