香最遠打をいじってみた 解答

出題編はこちら
解答締切いつまでとかいうアナウンスをしなかったのですが、まあそろそろかなと思いまして。
5名の方から解答いただきました。



序は、まあただの逆算で、7手目42角が入ったのでなかなかいいな、と。あと56歩に余詰防止の意味を兼ねさせる意味があります。収束だけの働きだと寂しかったので。
そして注目は17手目。予習してあれば12が歩なので38香か39香の二択となりますが、これ実は36香あたりでも詰みます。というのも、33金中合以下追い出したときに、64に金が落ちていてこれを拾えるんですね。
だからといって、36~39香まで非限定なのかというと、当然そんなはずはなく。
左へ追って82玉の状態で、今度は89香の最遠打!
あとは作意を追ってもらえれば、2回の最遠打の意味付けがはっきりと浮かび上がりますね。
56歩は玉が97にいる状態での37龍以下の余詰を防いでいるわけですね。

馬屋原さん 「2回の香最遠打がリンクしているのがいいですね。新構想でしょうか」

奥鳥羽生さん 「39香の目的は(98玉に対する)38龍可能の一点、が好みです」

三輪さん 「問題は39香の遠打理由が左の遠打理由と共用している事ですね。共用は悪い事じゃないのですが、これでは元の図の良いところをぶっ飛ばしているので改作とは言えません。新作になってしまってます(笑)」

この図に至るまでのあれこれでは、すべて33金合以下右下に追い出す変化に備えて最遠打するという意味付け。
ここからどう新しいものを作るか……と考えたときに、その意味付けを変えることを思いつきました。
僕の作図方法としてこういうのが多いんです。三輪さんの仰るとおり、新作になっていると思います。

ただ、今回作図の経緯を見せたがゆえに、ちょっと誤った認識をされてしまった面がありました。

オオサキさん 「38と39の非限定打と思わせて、実は39限定だったというストーリーですか。しかし、39香の意味付けがダブっているとも見れるのが良し悪しですね」

有吉さん 「38と39の差別化を8筋の遠香と絡めて実現されていて、かなり構想の難易度が高いと思います」

33金合の変化で64金を取る手が見えず、そうなると36香ではそもそもだめ、ということになってしまいますね。
つまり、実際なら

 右辺の意味付け→36~39までOK
 左辺の意味付け→39のみ
 よって39限定

のところを、

 右辺の意味付け→38 or 39
 左辺の意味付け→39のみ
 よって39限定

というふうに誤解されてしまうと、2本の最遠打をリンクさせるという狙いの意外性が削ぎ落とされる可能性があるのです。
それをもっと強調して表現するならば、玉方14桂などを配置するという方法があります。これなら、14から逃げ出す変化が潰されてしまうので、

 右辺の意味付け→34以遠ならどこでもOK
 左辺の意味付け→39のみ
 よって39限定

となり、限定の意味が最後まで現れてこない形になります。
……1枚増えても、こっちのほうがいいのでは?
しかし、迷った末に僕はそうしませんでした。なぜでしょう?

それは、あくまで元の素材を活かしたかったと言いましょうか。
右辺の変化をがんばって読んだら、38香か39香、どちらでもいいことがわかった。うーん、こういうのって39香限定で作るものじゃないのか。非限定? だとしたら素材が惜しかったなあ。
……と、思わせておいてから最後に39香限定だとわかる!
この感覚を、構想のダブりとして排除してしまうのは、なかなかもったいないところです。
もっと言えば、玉方14桂を置いた瞬間に、33金合以下の変化はほぼ「ゼロ」に帰してしまうわけで。構想作家ならそうやって、真の構想部分だけで勝負するのかもしれませんが、僕はストーリー重視の作り方をしたかったわけです。

じゃあ、64金なんて置かなければ、これを龍で取る筋に気づく気づかないの話がなくなって、38 or 39のストーリー構造がより明確に表れてよかったのでは?
そうなんです、そうだったはずなんです 泣。
しかし収束でですね、38龍とする必要がある以上、8段目はノーマークである必要があって、そうなると今度94龍を98龍として活用する筋が出て来てしまうんです。
具体的に言えば、64をと金にして、64龍と貪る筋を消したとしても、結局は37~39が可、という状態になってしまいます。



なかなかうまくいかないものですね……。
と、いろいろ考えてきましたが、最終的には全体のバランスと駒の活動性にも最大限に配慮して最終的な図を決めていたりします。

さて、それでは最後にこういう視点も。

オオサキさん 「最遠打2発なら左右でまったく同じ論理の39香、79香とかどうでしょう。龍の運びが難しいかな」

これ、考えますよね 笑。

三輪さん 「4筋に詰方歩を置くと39香、33歩、32金、同玉、33香成、41玉、43龍、51玉で左側に同じ形が出来てツイン遠打が出来そう。73金合でまとめるには92歩、69とになるとして、いかにその形にするか。その形にはなるけど、ネックとして持駒の歩が消化出来ない。
……ここまでは鈴川君も同じ事を考えたと思います。鈴川君は1日考えたけど出来ないとTwitterで言ってましたね。僕は鈴川君とは違いますよ。1週間考えだけど出来ませんでした(笑)」

三輪さんには、僕がそれを考えていたことを汲んでいただいた上で、やっぱりできないと保証してもらいました 笑。
つなぎの手順がやたら難しいんですよね。
もし実現された方がいらっしゃいましたら教えてもらいたいです。

で、三輪さんにはかわりに別案を考えてもらいまして。



三輪さん 「左側も下に駒は置きたくないけど、それが出来たら新作に使うので、置くけど少ない駒数にと考えました。鈴川図は置かない事にこだわった図ですが、方法が下らない。
僕の案で一応最下段にする事は出来そうですが、配置がごちゃごちゃしそうなので止めました」


12が香になっていることからもわかりますが、右と左の最遠打を完全に分離したパターン。
左の最遠打はまさに力ずくで、見ものです。
しかしこれだったらどちらも9段目最遠打にしたいところではあります。

自作のことに話を戻しますと、

有吉さん 「左辺の遠香は、少ない駒数で実現できる良い素材です」

47-3t.png(途中図)

限定打作品を作る上でやっぱり最も苦労するのは、中合処理です。
右辺の素材が、この少ない駒数で中合処理まで内包していて素晴らしい、というのは前の記事で書きましたが、左辺、こちらは僕がいろいろ試行錯誤しました。
例えば歩の中合は同香、92玉、83香成、81玉、41龍、71合に82歩が打てます。かと言って桂中合なら92玉の時に84桂~72桂成です。
いっぽうで、89香に71玉は81香成以下73まで追い出して93龍まで。
さらに、ちょっと遡って43桂、61玉の状態で41龍以下同様の追い出し順に入った場合は攻方83歩が残っているので94龍・92角がデッドロック状態で逃れ。
もう、ここらへんの割り切りは想像力でなんとかする以外なく、創作で大変なところです。

ブログでこうやって出題するのも、いろいろ語れてたまにはいいですね。

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短評補足

私の短評が言葉足らずで、うまく伝わっていないかも?と思い、以下に補足させていただきます。

「一枚追加してでも、」変化を簡略化し右辺の香打ち位置の意味付けを「できるだけ近く」「軽く」34(以遠)として、
「35以遠は」39の一点のみの意味付け(38龍可能)、「の方が私は」好みです。

あくまで好みですが、鈴川さんも迷ったとのことで一安心???(私の好みも一考されたの意)。w
原図との繋がり・今回の一連の作図経緯や、「詰方の手の意味は単一が良い」という定理?通説?都市伝説?解答影響説?無意味?(これも人それぞれ・場合によりけり)も関連するところでしょうか。

39香:79香だけでなく、39香~X(4~7)9香~89香も面白そう。(実現度は考慮外w)
いずれにしろ、一つの段を通すための複数香最遠打は記憶にはありませんが、あったのかしら?

No title

あ、すいませんでした。そういうことでしたか 笑。

今回の場合、思考の順番が必ず右辺→左辺となるので、重複があってもいいなあという感覚。
当然ですが、12香とかにしちゃって右辺ですでに39限定にしちゃうのはおかしいですけどね。

なお、8段目を通すためとなると、「X9香」(4≦X≦7)を「XY香」(4≦Y≦7)としてもよさげなので、そこの区別が難しそうです。
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管理者:鈴川優希
月刊誌「詰将棋パラダイス」を活動拠点とする詰将棋作家。石川県のド田舎育ちですが、大学進学とともに東京へ。詰工房などの会合に顔を出したり、解答選手権などのイベントを運営したりしてます。詰将棋は小学生の時から作り始め、2009年5月に詰パラ初入選。2015年12月に最年少同人入り(入選100回達成)。半期賞受賞6回。2016年4月より詰パラ連載「ちえのわ雑文集」の世話役に就任。現在、第一作品集を執筆中。出版は今夏を予定していましたが果たして……。

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