たのしく、うつくしく。好作紹介 #12

~~ちょっといいかも陣形図式~~

そろそろブログも更新せねばと思いまして。
2000年代前半の詰パラを適当にめくって、よさそうな陣形図式をピックアップ。
なお、すべてチェックしたわけではないのでご了承ください。
いつもの「たのしく、うつくしく。」の理念からははずれますが、まあたまには。

では、最初は穴熊崩しを2作、ウォーミングアップとして。



松本誠氏作
詰パラ2003年1月

穴熊といっても、もう丸裸ですね。
2手目香合からまず読むと思いますが、分岐にあるとおり32銀成から34香と据えれば詰みます。
では桂合は……といったところで、44金を原形消去して44桂と据える構想が巧いですね。香合のときに目一杯働いていた金なので、意外性があります。
最後は角合から清涼詰とは、なんとも都合のいいものです。



高木道雄氏作
詰パラ2003年8月

こちらも丸裸ですが……。
3手目31角成が見えますが、11玉、21馬、同玉と進めるのは損。それよりも23香~21香成として角を温存しておきます。
次に23桂と一発捨てて、実はこれが質駒作り。角を取って収束にぴったりつながります。
陣形図式というより、収束からの逆算な気がしてきました……。

では今回のメイン2作。どちらも矢倉崩れ。



谷川浩司氏作
詰パラ2000年7月

さすが谷川プロというだけあって、目を見張る完成度。
初手に歩頭の限定打が入るのはびっくりです。同歩の変化は指将棋の本などに載っていそうな手順。
それにしても、奪った一歩をきちんと消費して、馬捨の収束につながるとは。初手に打った駒を最後に捨てるのは鈴川好み。
短大担当者も「けちの付け様がない。みんな好きなだけ褒めてくれ」の一言で解説を終わらせる絶賛ぶりです。



酒井博久氏作
詰パラ2005年5月

31角ではまったく続かず、14桂~32金が裏をかいた導入。
次に13歩と叩くわけですが、ここを先に13香とすると同玉、25桂、12玉、13歩、11玉で逃れる仕組みです。
続くポイントは17手目。ここで22角成とすると分岐にあるとおり、23角合で逃れ。角を品切れにするために金が先になるように限定されるとは、いや巧い。
最後は例の収束ですが、よくここにつながるものです。

陣形図式、創作はなかなかに難しいもので、詰キストを満足させる出来のものは少ないですね。
しかし捌きの手順には魅力があるものもあり、収束が決まっていれば価値は格段に上がります。むしろ収束さえ決まっていれば陣形図式として合格でしょうね。

さて、ここまで書いてきてふと、自作にどんな陣形図式があったかなと考えてみました。
せっかくの機会なのでいくつか紹介させてください。(こちらが真の狙いという説あり? いやもともと記事を書きだしたときはまったく予定していませんでしたよ!)



鈴川優希作
my cube 2009年10月

文句の出ない手付かずの矢倉囲い。
32龍以下豊富な持駒を活かして追うしかありませんが、5手目51金が陣形図式らしからぬ打歩回避の手です。だれしもが最初は52金から追うところだと思いますので、収束までささっと到達して、32歩を打つ段階になってあっと気付くのが作者としては見ていて楽しい、そんな一作。
自分の作品集にも収録予定でしたが、問題発生。18手目32玉の非限定は仕方がないとして、12手目12玉も非限定なのです。
これだけならギリギリセーフの範囲……と思っていましたが、12玉とした場合に22金以下の余詰発生。いわゆる変同余詰で、一昔前なら13玉の希望限定として許容されていましたが(むしろ12玉を誤解扱いする場合もあったくらい)、現在の僕の基準ではアウトです。

で、修正したわけですが。



15金……なんという不自然な配置。
陣形図式という価値が下がった今、改めて手順を見返してみると、51金以外の主張点が皆無であるとこに気付きました。(5手目63角の紛れは増えました。このときに45角成を防ぐための54歩です)
収束も打歩回避の性質上仕方がないとはいえ、ただのベタベタだし……。
というわけで、作品集に収録しません! この記事で陽の目を見たので満足!



鈴川優希作
初公開

これは素晴らしい作品 笑。
深い紛れを含んだ連続焦点捨から始まり、ド派手な53龍の突進。
収束まで緩むところなく、大駒をすべて捨てきっての詰上りはちょっと陣形図式とは思えない密度の高さです。まあ逆算なので収束が決まるのは当然ですが。
パラに投稿すれば短大首位を争えるのではないでしょうか。
で、なぜ投稿しなかったかと言いますと。

こちら→スマホ詰パラ好作選



55番 烏丸♪氏作

うーん……。これはほぼ同一手順ですね……。
盤面に未整理感がありますが、おそらく陣形図式を最大限に主張したかったということでしょう。
実際、鈴川作は92銀という駒を置いてしまっています。(端攻めを受けた後という解釈はできないこともないが)
いずれにせよ、ここまで類似してしまうと新作としての発表はできませんね。
烏丸♪さん、本作含めて発表は5作だけのようですが、何者でしょう?

だんだん自作紹介のほうが長くなってしまい、記事の目的を逸脱していますが、次で最後。



鈴川優希作
初公開

「収束さえ決まっていれば価値は格段に上がる」と書いたな……。
そう、たったそれだけの作です。
詰パラにはとっても投稿できない代物だったので、ここで公開できてよかったです。

はい、おしまい。

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

カレンダー(月別)
04 ≪│2017/05│≫ 06
- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31 - - -
FC2カウンター
About
my cubeへようこそ。詰将棋のブログです。駒を並べてアートが表現できるって素敵なことじゃありませんか? 詰キストの方もビギナーの方も楽しんでいってください。

管理者:鈴川優希
月刊誌「詰将棋パラダイス」を活動拠点とする詰将棋作家。石川県のド田舎育ちですが、大学進学とともに東京へ。詰工房などの会合に顔を出したり、解答選手権などのイベントを運営したりしてます。詰将棋は小学生の時から作り始め、2009年5月に詰パラ初入選。2015年12月に最年少同人入り(入選100回達成)。半期賞受賞6回。2016年4月より詰パラ連載「ちえのわ雑文集」の世話役に就任。現在、第一作品集を執筆中。出版は今夏を予定していましたが果たして……。

第n回裏短編コンクール
2015年11月に開催した企画で、7手詰を募集して17作を出題しました。45名もの方に解答していただき感謝です。順位発表はニコ生で放送するという新しい試み。

第φ回裏短編コンクール
2016年、裏短コン2回目の開催。9手詰25作出題の大盛況でした。結果稿はいずれもブログ右袖のカテゴリーからどうぞ。

たのしく、うつくしく。
難解? 複雑? そんなものとは無縁な「易しいからこそ楽しい」作品を紹介していく連載です。不定期更新。

解付き出題
自作を解付きで出していた企画で、現在#120をもって休止中。在庫整理の意味合いが強いので質より量です。

今週の詰将棋・
詰将棋ウィークリー

今週の詰将棋は2009年7月からの2年間100題。詰将棋ウィークリーは1012年3月からの50週は幻想咲花さんとのコラボ、それ以降は鈴川単独の出題で2014年3月まで、#100をもって終了しました。解答して頂いた方に感謝します。
※81puzzler閉鎖につき詰将棋ウィークリーの記事にはリンク切れが多いです。

このブログはリンクフリーです。Sine 2009.6.
メールアドレス
makugaeru●yahoo.co.jp
●を@に替えてください。
全記事数表示
全タイトルを表示
最新記事
最新コメント
カテゴリ
検索フォーム
リンク
詰将棋あるあるbot