詰パラ 入選118回 短期大学

詰将棋パラダイス2016年8月号
短期大学 第10番

入選118回
東京都 鈴川優希



誤14 無22
A16 B4 C1
平均2.71

池田◯哉―シンプルな変化に支えられた29香はもちろん素晴らしいが、その舞台装置を作った61角を打つところからはじめて、その角も消せたのもうまい。



素材がよかった。そこに自らの思想を加えて、最も納得できる形で作品に仕上げた。

23玉、61角、33桂、14桂。持駒飛香。
たったこれだけで最遠打と27桂合の枠組みが現れてくる。優秀な素材。
その桂は26に打つことになりそうだし、そうすれば22飛から34桂の両王手でまとめたくなる。
あれこれやっていると、変化がすべて割り切れ、これだけで作品になっている。



41角成、同飛、33銀成、同桂の4手の逆算も、無条件に入る。
最初はこれでもう発表しようと思っていた……。

しかし、気になったのは61角の存在。
詰上りで働かない大駒は気に入らない。
これを捨てないことには納得できない。



なんとか捨ててみた。
いろいろ考えたが、43角成から腹金で詰ます以外には手段はなさそうだ。
すると最後34への脱出を防ぐ必要がある。
原図では33が桂なので、34に攻駒の利きがあると23玉の局面で34角成以下の余詰がつらい。
そこで13歩と33桂を交換する。26桂に24玉が詰まなくなるので、36歩を追加する。まあ仕方ない。それと引き換えに14桂を打つ逆算が容易になった。
しかし54歩、64とは、最悪の配置。最終手非限定な上に(ちなみに64とを55香にすると43角成を省いて53歩成からゴリ押して余詰)、そもそも収束待ちの配置は美しくない。
ではどうするか。最終手を金打にすればいい。その金は42で入手すればいい。



これはちょっと巧い。31香配置は43角成のところ43金、41玉、32杏の余詰を防ぐほか、22飛短打を強調する役割を果たす。
41玉にして32銀、同玉の逆算も無条件に入る。
しかし理想の逆算は、61角、32玉の2手。初手に打った角を最後に捨てるのが、構成の面では最高だ。
よくよく盤面を見ると、42金が22杏に変化しただけ、という対比も生まれる。

そうして発表図に至る。
55銀、73銀の追加は痛いが、相場は4枚追加というこころをよくこれだけで乗り切ったと思いたい。
逆に言えば、この2枚の銀を追加してまでも、初手61角から始めることは重要なのだ。
最遠打から中合、両王手という派手な手順を挟んで、冒頭に回帰する。その両王手の面影は詰上りでは消失している。
素材のよさを引き出すだけなら、最初の図が一番いいかもしれない。しかし、それでは自分の手で作った感じがしない。
己のやっていることは物語の創作なのだ……という気がしている。

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No title

いつも楽しく読ませてもらっています。

もとのシンプルな図も相当いい図だと思います。ただ、もっと逆算なり収束の調整なりしたいという気持ちもよくわかります。実に悩ましい選択ですね。

1つお願いなのですが、鈴川さんが話していらっしゃる
>41角成、同飛、33銀成、同桂の4手の逆算も、無条件に入る。

の部分の逆算が入ったバージョンの図も是非見てみたいです。
さしつかえなければ、ご教示くださいませんでしょうか。

No title

>uetaniさん
返信遅くなりすみません。
原図から33桂→21、41飛→42とし、攻方22銀、74角追加で成立します。
初手が非限定なのがあまり美しくないなあと思っていました。

No title

ありがとうございます。
個人的に、非限定はあんまり気になりません。

No title

本筋には直接関係のない逆算で、いたずらに駒数を増やしただけとも捉えられるので、悩ましいところではありますね。
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管理者:鈴川優希
月刊誌「詰将棋パラダイス」を活動拠点とする詰将棋作家。石川県のド田舎育ちですが、大学進学とともに東京へ。詰工房などの会合に顔を出したり、解答選手権などのイベントを運営したりしてます。詰将棋は小学生の時から作り始め、2009年5月に詰パラ初入選。2015年12月に最年少同人入り(入選100回達成)。半期賞受賞6回。2016年4月より詰パラ連載「ちえのわ雑文集」の世話役に就任。現在、第一作品集を執筆中。出版は今夏を予定していましたが果たして……。

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今週の詰将棋は2009年7月からの2年間100題。詰将棋ウィークリーは1012年3月からの50週は幻想咲花さんとのコラボ、それ以降は鈴川単独の出題で2014年3月まで、#100をもって終了しました。解答して頂いた方に感謝します。
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